では、問題はここからです。仮に二・二六事件と重なるとすれば蜂起は数日、ロシアの場合は1日で収まっていますが、その衝撃は大きく、歴史的転換点となるはずです。
一部にはワグネルにそれほどの力はないのでは、という一部の意見ですが、それは解釈を間違えていると思います。そもそもロシア軍部にプーチン氏への絶対服従を誓っている人がどれぐらいいるかであります。ウクライナを攻めるロシア軍の一部にもかなりへっぴり腰な部隊もあるようで、きっかけさえあれば忠誠がボロボロと剥がれてしまう希薄さがあるとみています。戦国期や江戸時代に農村民や町民に刀や鉄砲を持たせたようなものです。
とすれば可能性としてはワグネルのように雇われて金の力で戦争をする傭兵組織、戦争はまっぴらごめんだとするロシア軍の一部、そして国軍としてプーチン氏を中心とた軍部の3分裂の可能性は否定できないのではないでしょうか?とりもなおさず、今、彼らが直面しているウクライナとの戦いどころではない、ということになります。下手をすればロシア軍総崩れが起きかねないでしょう。
プリゴジン氏は二・二六事件でみる統制派であり、それに対して皇道派は国軍でプーチンに表面上、忠誠を誓っています。歴史が重なるなら統制派が有利になる一方、皇道派は統制派の首謀者であるブリゴジン氏を暗殺する計画は当然打ち出すでしょう。つまり、ロシア国内で不信感だらけとなります。一方、ウクライナと戦う以上、国内問題を可及的速やかに解決しなければウクライナ戦争はロシアの完敗となりかねません。
俯瞰するならば欧米は興味深く見守る、ウクライナは今のうちに一気に巻き返す、ロシア内部ではプーチン氏の次と国家再建を巡り水面下の動きが出る、そんな予想をしています。またこの段階になれば諜報活動が極めて活発になるはずで、スパイ戦が戦況を制する公算も出てくるとみています。
まさに新展開という言葉が正しいとみています。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年6月25日の記事より転載させていただきました。