クレジットカードの利用代金の支払いが滞った場合、どれくらいの期間滞納するといわゆるブラックリストに載ってしまうのか? ここでは、避けるべきその“万が一”について説明しよう。

「ブラックリスト」というリストはない

クレジットカード会社に「ブラックリスト」という名のリストがあるわけではない。しかし、一般的には信用情報機関の“異動情報”がそれに該当する。異動情報とは、延滞、保証履行(保証人による肩代わり返済)、破産があったことの記録をいう。

信用情報機関は、個人のクレジットやローンの契約や利用状況の情報を保有し、カード会社やローン会社が照会できる仕組みを提供しており、複数の信用情報機関が相互に情報を利用しあえるようになっている。

クレジットカード、ローン、割賦販売などを提供する会社は、信用情報機関へ情報を照会することで審査などに役立てるわけだが、当然、異動情報がある人はカードやローンの審査に通りにくくなる。そこで、この異動情報は事実上の「ブラックリスト」といえる。

延滞するとカードが利用停止になり解約されることも

“異動”の中でもうっかりやってしまいがちなのが、カード利用代金などの支払い延滞だ。給料の振込口座とカード利用代金の引落口座が同じなら、そうした問題はそうそう起こらないが、口座を別にしている場合はお金の移動を忘れ、残高不足で延滞扱いになることがある。

延滞した場合、まずカードが利用停止される。そのまま支払いが遅れつづけるとカードが解約されてしまうこともあるので、気づいた時点でカード会社に連絡して早々に支払いを行うべきだ。通常、支払いが確認されるとカードの利用は再開される。

2~3ヵ月の延滞で“異動”情報が記載される

では、どれくらいの期間延滞すると「ブラックリスト入り」=異動情報の記載が行われるのか? 信用情報機関のCICでは入金状況について、請求額どおりの入金があったのか、一部が入金されたのか、契約者以外からの入金があったのか、などを記録している。

また、入金がなかった場合も、契約者の事情で入金がなかったのか、契約者の事情とは無関係の理由で入金がなかったのか、原因不明の理由で入金されていないのか、などが詳細に記されている。

そこで、たとえば銀行のシステムダウンなどで引き落としが遅れたことが明確であれば、契約者本人の責任ではないことがわかるわけだ。

支払いの延滞による異動情報については、61日以上または3ヵ月以上の遅れがある場合に「返済状況」欄に「異動」と記載され、異動発生日も併せて記載される。

“ブラックリスト”の記載期限は?

信用情報機関ではローンや割賦販売(携帯電話の分割払いなども含む)の支払い情報も記録しているので、それらにおいて延滞による異動情報があれば、クレジットカードの審査が厳しくなると考えてよい。

あるいは逆に、クレジットカードで延滞したことによる異動情報があれば、住宅ローンなどの審査に通りにくくなるだろう。使ったお金や借りたお金を期日までに支払わない人に対して、厳しくなってしまうのは仕方のないことだ。

ただし、異動情報はずっと残るわけではない。CICの場合、契約期間中および契約終了後5年以内が情報の保有期間となっているので。それを過ぎれば再びクレジットカードの審査などにも通りやすくなるだろう。

もっともこれは信用情報機関での話であり、延滞されたクレジットカード会社がその記録を持ち続けていることはあり得る。そこで、長期の延滞をしてしまった場合は、同じカード会社では審査に通りにくい可能性は十分にある。

信用情報の自分で確認するには

過去に支払いの延滞をした経験があり、信用情報機関にどんな情報が残っているか気になる人は、手数料はかかるが自分の信用情報の開示を求めることも可能だ。

信用情報の訂正・削除は基本的にはしてもらえない。ただし、事実でないことが記載されている場合は、その記載に関係するカード会社などに訂正を依頼すると、そこを介して信用情報機関の記載も変更されることがある。

文・モリソウイチロウ
「ZUU online」をはじめ、さまざまな金融・経済専門サイトに寄稿。特にクレジットカードに詳しく、専門サイトでの執筆も行っている。雑誌、書籍、テレビ、ラジオ、企業広報サイトなどに編集・ライターとして関わってきた経験を持つ。