豪華客船タイタニック号は1912年、英国からニューヨークに向かう途中、氷山にぶつかり、1500名あまりの命が奪われた伝説の事故です。栄華を極めた人たちの晴れの舞台が一瞬のうちに悲鳴と変わっったその亡霊は今回乗船した富豪たちをも迷わすことなく、一瞬で圧殺してしまいました。この手の潜水ツアーは仮に技術的に進化したとしてもビジネスとして当面、成功することはないかもしれません。それはリスクを考えると、あまりにもはかない終わり方で美しくないからであります。

Johan Holmdahl

賢さは難問を解くことではない

私が高校受験勉強をした際、当時のいわゆる御三家(麻布、開成、武蔵)の過去問題に挑戦し、ウーンと唸ったのは設問のひねくれ方が尋常ではないからでした。私は中3の時は出席日数ギリギリしか学校に行かず、あとは超スパルタの進学塾で朝から晩まで缶詰でした。それ自体、狂っていたと思いますが、その狂った受験戦争の真っただ中にいる私でも御三家の問題は狂っていたと記憶しています。

現在、日本の高校受験に於いて英検準2級と数検準2級を持っていれば入学の優先ポイントをもらえる高校があります。しかし英検、数検共、準2級は高校レベル。つまり中学校では習わない内容を自己習得せよ、と言う訳です。これはおかしい!また、日経は韓国の尹錫悦大統領が大学統一入学試験で学校で習わない超難問が出題されるのはおかしいと発言し、論争になっていると報じています。

社会人になると思うことがあるのです。訳わからぬ数学や理科系の知識より社会人教育してもらったほうが助かると。大学生卒にエクセルシートをまともに使える人は少ないけれど会社ではそれがないと役立たずです。メールの書き方も稚拙、電話での応対も出来ない、マネー教育も道徳教育も不完全。だけど、クイズ大会のような難問を解かせることに世間は喜び、テレビ番組もそれを後押しします。ですが、そんなものは一部の人だけで良いのではないかと思うのです。高齢者向け脳トレで小難しい漢字を書かせる問題を見て、「これは脳が活性化するものではない。易しい問題を素早く片づけることが本質だ」ということを皆、忘れているように感じます。

後記 今、東京にいるのですが、ふと思うのは「窮屈」さでしょうか?バンクーバーはビジネス街のすぐ横に落ち着く環境があり、気分転換もしやすいのですが、東京のコンクリートジャングルと「人圧」が重く感じられるようになったのは歳をとったからかもしれません。荒川の岩淵水門はサイクリストやロードバイクのメッカで私は東京にいる時は必ず数回来ますが、その時だけは救われたような気持になります。あの広々とした解放感は多摩川では再現できません。まさに私の東京のオアシスです。

では今日はこのぐらいで。

編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年6月24日の記事より転載させていただきました。