モンシロチョウの幼虫は、キャベツに引っ付いて食事をします。 これは成虫がキャベツの葉に卵を植え付けるのはもちろん、モンシロチョウの幼虫にとっても好物だからです。
しかし、キャベツも食べられたいわけでは無いらしく、非常に危険な化学物質を出しています。 実はキャベツも食べられるのを阻止しようと、動けないながらも抵抗していたんですね。
ではなぜ、そんな危険な化学物質を出すキャベツをモンシロチョウの幼虫はわざわざ食べるのでしょうか。 そこには、モンシロチョウの体質もかかわっているんだとか。
そして、キャベツもモンシロチョウに食べられないように第二の手を打っているようです。
目次
モンシロチョウがキャベツに産卵する理由
キャベツも実は反撃をしていた
他にもいるモンシロチョウの天敵
まとめ
モンシロチョウがキャベツに産卵する理由

モンシロチョウはキャベツに産卵することが多いのですが、その理由はどういうものがあるのでしょうか。 ここでは、まずモンシロチョウの成虫がなぜキャベツを産卵場所として選ぶのかについて解説します。
他の昆虫にとってキャベツは毒
なぜキャベツに産卵するのかというと、それはキャベツが持つ化学物質に反応しているためではないかとされています。 その化学物質は辛味成分のアリルイソチオシアネートと呼ばれるもので、多くの昆虫にとって毒となるそうです。
死に至るというなら非常に危険なのでは?!と思うところですが、この化学物質を摂取してもモンシロチョウの幼虫は大丈夫なのです。
また、キャベツは日当たりが良い明るくて暖かい場所を好みます。 そして、モンシロチョウもまたその環境を望みます。 どちらも同じような環境を求めるので、産卵場所として選ばれることが多いのかもしれません。
キャベツ以外の好物
モンシロチョウの幼虫が食すのは、なにもキャベツだけではありません。 アブラナ科などの植物であれば、好んで食べることも多いとされています。
特に菜の花や大根の葉などを食べるとされています。
成虫になると食性が変わる
モンシロチョウは、成虫になると食性が変わります。 葉を食べることは無くなり、タンポポやアザミの花から蜜を吸うようになるのです。
キャベツも実は反撃をしていた

キャベツは昆虫に食べられるのを望んでいないようで、食べられると毒を発します。 つまり、黙って食べられるのではなく、食べに来た天敵から身を守るべく反撃しているのです。
食べられることで化学物質を発する
モンシロチョウはキャベツを食べて成長するのですが、実はそのキャベツを食べることは天敵をおびき寄せてしまうことに繋がっていたりします。
モンシロチョウの幼虫に食べられたキャベツは、アオムシコマユバチというモンシロチョウの幼虫最大の天敵に助けを求めます。 しゃべれないし動けないキャベツがどのように助けを求めるかというと、これもまた化学物質によるものとされています。
キャベツの化学物質に反応するモンシロチョウの天敵
モンシロチョウの幼虫に食されたキャベツが発する化学物質には、特定の生き物を誘引する成分が含まれています。 その誘引される生き物が、モンシロチョウの幼虫の天敵となるアオムシコマユバチなのです。
つまり、モンシロチョウは食事をすることで、天敵を呼び寄せるという最大のリスクを負っていたのです。 このように、特定の生き物を呼び寄せる物質はカイロモンと呼ばれています。
キャベツの放つ化学物質によって誘引されたアオムシコマユバチは、モンシロチョウの幼虫の体に卵を植え付けます。 そして植え付けられた卵はモンシロチョウの幼虫の中で成長し、最後にはその体を食い破って出てきます。