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暖機運転とは何?
必要?不要?暖機運転は意見が分かれる

暖機運転とは何?

「愛車を大事にする人ほど悩む」車の暖気運転は必要?現役整備士に聞いてみた
(画像=©srattha/stock.adobe.com,『MOBY』より 引用)

暖機運転とは、アイドリングもしくは低速走行による低負荷運転でエンジンなどの機構部を適切な稼動温度まで上げる作業です。一般的なエンジンの安定稼動温度は車種によっても異なりますが水温が70〜90℃前後、油温は水温+10℃前後となり、その温度帯がエンジンがもっとも効率よく稼動できる温度領域と言われています。

また、トランスミッションやサスペンションも安定動作するためには、ある程度熱が入る必要があります。暖機運転は人間で例えるなら、運動前の準備運動にあたる作業といえるでしょう。

必要?不要?暖機運転は意見が分かれる

「愛車を大事にする人ほど悩む」車の暖気運転は必要?現役整備士に聞いてみた
(画像=©Stefan Redel / stock.adobe.com,『MOBY』より 引用)

暖機運転の要否については意見が分かれがちです。またアイドリングでの暖機運転と、走行しながらの暖機運転の是非も意見が割れます。

燃料供給にキャブレターを使用していた時代の車はアイリングでの暖機運転が必須でした。エンジンが冷えた状態では揮発性が高いガソリンであっても十分に気化しづらいため、エンジン回転が安定せず、暖機走行なしでの走行は難しかったのです。

また、固めオイルを使用していたこともあって、オイルが冷えた状態では十分にオイルを循環できず、エンジン各部のクリアランスも広く冷間時はパワーも出にくいため、古い車はアイドリング状態でエンジンがある程度熱を持つまで暖機運転を行わなければ走り出せませんでした。

現在は暖機運転が不要の方向に

燃料供給に電子制御燃料噴射装置が用いられるようになり、現在の車は温度帯ごとの制御で冷間時でも安定した燃料供給ができるようになりました。また部品の加工精度が上がり、エンジン内部の熱膨張変化も最小限に抑えられています。これらエンジンの進歩の理由により、アイドリングでの長時間の暖機は不要と言われるようになりました。

さらに近年は地域によって「アイドリング禁止条例」が制定され、無用のアイドリングが禁止となっています。また、アイドリング時の燃料消費削減、エンジンや触媒の速やかな温度上昇を促す目的でアイドリング暖機は排除される方向に向かっています。

車の取扱説明書にも「停車しての暖機は不要」「長期間使用しなかった場合や、極低温のときは以外は速やかに走行を開始してください」などと記載されるようになりました。

結局、暖気運転は必要ないの?

とはいえ暖機運転が不要になったからといって、エンジンの冷間始動直後に高速道路やサーキットで全開走行をしても問題ないという意味ではありません。エンジンに適正温度がある以上、なんらかの形での暖機運転は必要です。では結局の所、どうするのがベストなのでしょうか。この疑問を現役自動車整備士に質問してみました。

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現役整備士に聞いた内容は
暖機運転の結論

現役整備士に聞いた内容は

「愛車を大事にする人ほど悩む」車の暖気運転は必要?現役整備士に聞いてみた
(画像=@Shutter2U©/stock.adobe.com,『MOBY』より 引用)

実際に暖気運転について、現役整備士に質問したところ、回答は以下の通りでした。

そもそも暖気運転を奨励している理由としては、冷間時にエンジンを高回転まで回してしまうと、エンジン内のシリンダーやピストンなどのダメージが大きいからです。

地球には重力が存在しており、エンジンオイルは重力によって下に溜まっている状態です。エンジン内部にオイルが回りきっていない状態で、急に高回転域まで回してしまうと粘膜がない状態もしくはとても薄い状態となり、金属の間にエンジンオイルというクッションがない状態で一時的にピストンを動かすことになってしまいます。

そうなるとエンジンへのダメージが大きく、車が新しいうちは問題ないですが、時間が経つほどダメージが蓄積され、将来エンジントラブルに発展してしまう可能性が高まります。

しかし、現在の車ではハイブリッド車も多く、そもそも車を発進させるときにエンジンがかかっていない場合も少なくありません。

また、エンジンオイルも年々、粘度が下がってきています(サラサラのエンジンオイルを使用するようになりました)。昔に比べエンジンオイルの循環がよくなってきていることに加え、エンジンの技術も進歩し、エンジン自体の強度や故障しづらさも昔に比べ向上しています。現在の車なら、暖気しなくても問題なく使用できます。

暖機運転の結論

「愛車を大事にする人ほど悩む」車の暖気運転は必要?現役整備士に聞いてみた
(画像=©buritora/stock.adobe.com,『MOBY』より 引用)

現役整備士によると「暖気が必要かどうか」という質問に対して「現在の車なら神経質な暖気運転は必要ない」という回答をいただきました。また「エンジンへのダメージをできるだけ減らすといった観点から、エンジン始動直後はエンジンが高回転になるような運転を避けてください」ともアドバイスをいただきました。

アイドリングだけで暖機するのは温度上昇までに時間がかかるうえ、地域によっては禁止されています。過度に長時間のアイドリングは避け、周囲の交通の妨げにならない範囲でエンジンの低回転を使った、走行しながらの暖機運転が望ましいと言えるでしょう。

文・MOBY編集部/提供元・MOBY

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