もちろん、この制度は現代のようなコンピューターが普及する以前に作られた仕組みだからとも言えますが、アメリカのSocial Security Number の汎用性もさして差はないと思います。ちなみにアメリカのSSNは一度取得すると一生ものだったと記憶していますが、カナダのそれはカナダでの在留資格がなくると抹消されます。基本的に私の感覚としては北米が連邦政府と州政府の自治独立性の問題もあり、カードでワンストップ的な利便性を持たせてはいないし、そこまでの必要もないと思います。
もちろん、現代社会ではどんな複雑な設計もできるので個人番号制度後進国である日本だからこそ、最新のテクノロジーと制度設計でワンストップにすることは可能だと思いますが、無理しなくてもよい気もします。北米のカードのそれが個人の存在と税務を主に紐づけているのに対して日本の各種サービスのぶら下げ方はやりすぎだと思います。
将来、日銀がデジタルカレンシーを発行したらそのカレンシーもマイナンバーカードに紐づける公算はあります。しかし、それはいくら何でもシステムへの負荷が大きすぎると思います。おまけにバックアップが無くなることでむしろリスクが高まるのかな、という懸念は生まれると思います。
今、健康保険証で紙を併用させよ、と声が上がるのはバックアップの発想であり、岸田氏は紙をなくすならリスクをどう担保するのか、示さねば国民は納得しないでしょうね。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年6月23日の記事より転載させていただきました。