NHKより

以前にマイナ保険証の誤登録問題について解説しました。この問題の本質は、「ヒューマンエラー」の問題というよりは、「紐付けの手順が不適切である」ことが問題なのです。ネットメディアの記事などを見る限り、理解できている人があまりいないため、もう一度詳しく説明してみることにしました。

まず、マイナ保険証の申請はマイナポータルより行います。

手順は次の通りです。

1.アプリ内の「注目の情報」から「マイナンバーカードの健康保険証利用申込」を選択 2.利用規約を確認し、同意して次へ進むを押す 3.申し込むを押して、画面の手順に従ってスマートフォンでマイナンバーカードを読み取る 4.完了画面が表示されたら、お申し込み完了です。

この時点で、マイナンバー、氏名、性別、生年月日、住所の申請者の5つの基本情報はすべて揃っています。問題は、これらの基本情報が保険者(健康保険組合など)に通知される時に、マイナンバーのデータは何故か消去され、氏名、性別、生年月日、住所のみの情報が保険者に通知される点です。

ここで、第1の疑問です。

マイナポータルでは、「申請者が、どの保険者から保険証を発行してもらっているか」の情報をどのようにして取得しているのか?

これは、マイナポータルを管理するデジタル庁の職員が手動で調べるしかありません。何らかのデータベース(レセプトのデータベース?)を用いて保険者を同定していると推測されます。何千万人も申請するのですから膨大な作業量です。

次に第2の疑問です。

マイナポータルより、どのようにして保険者に通知するのか?

おそらくe-mailで通知しているのではないかと思います。e-mailで通知する場合、マイナンバーと氏名を一つのe-mailで送信するのはセキュリティの観点より問題があると考え、マイナンバーのデータを削除して通知することにしたと、私は推測します。

その結果、保険者は、氏名、性別、生年月日、住所の基本情報よりマイナンバーを手動で調べ同定するはめになったのです。ここで、また膨大な作業が発生します。しかも、ヒューマンエラーがおきやすい作業です。