提供者がドナーの立場を超えることはない
気になるのはもしMRTで生まれた子供の両親が亡くなったり親権を失った場合などに、ミトコンドリアDNAを提供した遺伝的な“第3の親”に子供を引き取る権利があるのかどうかだ。
この件についてハーティガン氏は「これに関する規則は国によって異なる可能性があります」と説明し、「イギリスにには不妊治療クリニックやヒト胚に関する研究プロジェクトを監督するヒト受精・発生局(HFEA)があります」と管理当局が存在することを指摘している。
「比較的新しい治療法であるMRTに関しては、ミトコンドリアDNAドナーは卵子や精子のドナーと同じ立場になることが期待されており、ミトコンドリアDNAドナーは子どもに対する法的請求権を持っていません」(ハーティガン氏)
つまり少なくともイギリス国内ではドナーである立場を超えることはないということだ。
「ある人々はウェブサイトやFacebookなどのソーシャルメディアプラットフォームを通じて精子ドナーを見つけています。しかしここに落とし穴があります。その道を選ぶと法律で保護されなくなります。それは、あなたの子供の人生において親の役割を主張しようとする非公式のドナーからの危険にさらされる可能性があることを意味します」(ハーティガン氏)

精子提供者をSNSなどで個人的に見つけようとする行為は昨今社会問題化している。そして今後これがDNA提供にも広がらないとも限らない。
「そのため、治療全体を通じてサポートしてくれる、規制を受けた優良な不妊治療クリニックを見つけることが重要です。結論としては、不妊治療サービスや法的請求の複雑さを乗り越えるには、適切なクリニックを見つけて、情報に基づいた決定を下すことがすべてです」(ハーティガン氏)
実はミトコンドリア置換療法については専門家の間では議論も多く、一部の研究者は倫理的な理由から抗議し、また別の一部の研究者は治療の効果について疑問の声をあげている。しかしこうして実際に生まれている新生児がいることから、今後は長期の経過観察を通じて慎重な検証が行われることになるのだろう。ともあれこの画期的な不妊治療法に今後も注目が集まることは間違いない。
参考:「Daily Star」ほか
文=仲田しんじ
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提供元・TOCANA
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