FIA世界耐久選手権(WEC)第4戦となる伝統のル・マン24時レースが2023年6月10日〜11日にフランスの・サルト・サーキットで開催され、今季50年ぶりにトップ・カテゴリーのハイパーカークラスに参戦したフェラーリAFコルセの51号車フェラーリ499P(アレッサンドロ・ピエール・グイデ/ジェームス・カラド/アントニオ・ジョヴィナッツィ組)が優勝を果たした。
今シーズンの世界耐久選手権は、これまでのLMP1クラスがハイパーカークラスとなり、参加台数を増やしている。今季はトヨタに加え、2022年から復帰参戦しているプジョー、ポルシェ、キャデラック、そしてフェラーリと一挙にワークスチームの参戦が増加した。
ル・マン24時間レースにはトヨタが2台、キャデラック3台、プジョー2台、ポルシェ4台、フェラーリ2台、さらにプライベート・チームのハイパーカーが4台と、トップカテゴリーであるハイパーカー・クラスは大盛況だった。
その背景には、アメリカのIMSAシリーズのMLDhマシンの規則を共通化したことで、キャデラック、ポルシェなどが参戦しやすくなったからだ。
ところがレース開幕前の5月31日にル・マン24時間レース用のBOP(性能統一化)のためのハンデ重量が発表され、その結果にトヨタは不利なBOPだとして反発した。
トヨタは+37kgとなり、1スティントあたりの使用エネルギー量は最大レベルに加算されている。このBOPは主催者側が徹底したコンピュータ・シミュレーションを行なった結果、決定されたと説明している。
公式予選では、フェラーリがポールポジションを獲得し、2位もフェラーリでフロントローを独占した。トヨタGAZOOレーシングは3、4番手、次がポルシェ、キャデラックと続き、6番手のキャデラックまでが3分25秒台で、紙一重の差で順位が決まっている。
決勝レースは、序盤に雨が降り、特にコースの一部で雨足が強くなり、クラッシュしたりスピンしたりする車両も少なくなかったが、フェラーリ、トヨタ、プジョーなどがトップを入れ替えて争った。ポルシェ・チームは、クラッシュやトラブルで上位に浮上できず、プジョーもレース後半でトップ争いに加われず、キャデラック・チームも上位にはいるもののトップ争いには届かなかった。
そのため、トップの争いはフェラーリとトヨタの競り合いが続いた。トヨタ7号車は夜間にクラッシュに巻き込まれてリタイヤし、フェラーリ50号車も夜間にラジエーターを破損。ピットで修復したため、最終的にフェラーリ51号車とトヨタ8号車がわずか10秒差の一騎打ちになった。しかし終盤にトヨタ8号車はスピンをするミスを犯し、フェラーリ51号車が逃げ切り、トヨタ8号車は同一ラップでの2位という結果に終わった。
フェラーリのジョン・エルカン会長
「フェラーリのみんなに捧げたい、忘れられない一日になった。50年の時を経て、私たちは、私たちの物語、そしてすべてのモータースポーツの中心に位置する耐久レースの最高峰カテゴリーに再び参戦することができました。アントネッロ・コレッタ、アマト・フェラーリ、そしてメカニックからドライバーに至るまで、チーム全員が、24時間という時間、予測不可能な天候、ライバルたちの強さという厳しい条件の中で成し遂げたこの勝利は、私たちにとって模範となるものです」
「過去、現在、未来がひとつになった素晴らしい日に、彼らがティフォシに与えた感動は、常に向上するための勇気と謙虚さを見つけることの重要性をも思い出させてくれるものです。熱意と喜びにあふれ、この特別な勝利を与えてくれたすべての仲間に感謝したい。この成功は、すべてのティフォシとイタリアにとって最高の喜びである」と語っている。
提供・AUTO PROVE
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