脱毛ブームの拡大で起きる悪質業者とのトラブルの実態
だが、このような脱毛需要の高まりは、危険なトラブルも多く生んでいる。
「国民生活センターに20代の男性から寄せられたトラブル事例では、SNSで『ひげ脱毛が月額約1000円、全身脱毛が約3000円』とうたう広告を見て脱毛エステに足を運んだところ、ひげや脱毛をしたい部分を選べる約50万円のコースを勧められたそうです。男性は広告にあったひげ脱毛を受けたいと申し出たところ、『納得のいく脱毛をする場合はこれくらいの料金がかかる』と言われてしまい、つい契約してしまったということでした。しかも提示されたクレジットの分割払いは36回払いで、さらに分割手数料が付き、けっきょく総額はさらに上がり、なんと約60万円になってしまったそうです」(安井氏)
鈴木氏は、こうした脱毛サロンに消費者が夢中になる背景には、とある心理があると分析する。
「広告やSNSにより脱毛についての情報が周りにあふれたことで、これまで以上に脱毛を意識するようになったと考えられます。さらに、その影響をうけて脱毛を経験する人が周りにいたとしたら、『自分もしなければならない』と考えるようになってしまうこともあるでしょう。そうして脱毛をすると、さらに周りの人が影響を受けて脱毛をするかもしれません。脱毛ブームの背景にはこのようなことが生じている可能性があります。他の装いにもいえることですが、友人や家族といった周囲の人の影響で脱毛をおこなう人は少なくないと思われます。
気をつけなければいけないのは、脱毛することが正しいこと、となってしまうことです。今後脱毛する人が多数派になり、脱毛があたりまえとなってきた場合に、脱毛をしないことに対してネガティブな評価がおこなわれるようになるのは問題だと考えられます」(鈴木氏)
詐欺まがいの広告や強引な勧誘で客を集める悪質エステが増えている脱毛業界だが、ブームは今後も加速していくのか。
「今後も脱毛ブームが続いていく可能性はあると思います。脱毛も装いの一つであり、自分磨きの楽しみという側面もあると思います。ただし、それがあまりにも『しなければならないもの』となるのも不健全だと思います。脱毛をするかしないか個人が自由に選択できるような社会であることが望ましいと思われます」(鈴木氏)
では、トラブルへの予防策とは。
「低価格をうたった広告を鵜呑みにしないこと、あとは強引に契約を迫られてもきっぱりと断ることが大切です。万が一納得できない契約を結んでしまった場合は、一人で悩まずに消費生活センターなどにお気軽に相談してください」(安井氏)
日本人の価値観に馴染み、近年インターネット広告やSNSを通じて浸透が進んでいる脱毛文化。周囲に流されない自分の意思と、悪質業者に騙されない危機意識をしっかりと持ったうえで、自身も脱毛をするか否かを検討してもらいたい。
(文=A4studio、協力=鈴木公啓/東京未来大学こども心理学部准教授)
提供元・Business Journal
【関連記事】
・初心者が投資を始めるなら、何がおすすめ?
・地元住民も疑問…西八王子、本当に住みやすい街1位の謎 家賃も葛飾区と同程度
・有名百貨店・デパートどこの株主優待がおすすめ?
・現役東大生に聞いた「受験直前の過ごし方」…勉強法、体調管理、メンタル管理
・積立NISAで月1万円を投資した場合の利益はいくらになる?