日経平均株価が急騰している。3月20日(月)の日経平均の終値は2万6945円67銭だった。相場格言「節分天井、彼岸底」通りの展開で、その後の84日間で、日経平均はなんと3万2432円00銭(6月12日終値)まで、実に5486円33銭の上昇。率にして20.3%の上昇だった。明らかに異常な上昇である。バブル経済崩壊(1990年)以降の最高値更新で実に33年ぶりの高値なのである。一体何が起こっているのか。いわゆる「庶民の感覚」だと「インフレ率は凄まじいし、賃上げと言っても雀の涙程度。一体どこに株が上がる要因があるのか?」という事になっているが、主に日本株を買い漁っているのはいわゆる「外人買い」と呼ばれる海外投資ファンド、外国投資家である。
何を根拠に買い漁っているのかというと、その根拠になっていると思われるのが、経済アナリスト・ストラテジストの武者陵司(むしゃりょうじ)氏の理論のようだ。 その主要著作は以下の通りだ。
・失われた20年の終わりー地政学で診る日本経済(東洋経済新報社/2011年2月25日発売)
・日本株「100年に1度の波」が来た!(KADOKAWA・中経出版/2013年4月25日発売)
・結局勝ち続けるアメリカ経済 一人負けする中国経済(講談+α新書/2017年3月2日発売)
・史上最大の「メガ景気」がやって来る(KADOKAWA/2018年6月29日発売)
・「安い日本」が日本を大復活させる!(WAC BUNKO 360/2022年3月2日発売)
・日経平均は4万円になる!(宝島社新書/2022年4月発売)
日本復活を喧伝する超強気アナリスト・ストラジストだが、この10年ほどに関しては武者氏の日本経済に対する見解は確かに当たっている。従来はただの根拠なき楽観論者という評価が圧倒的に多かったが、日経平均3万円突破で武者氏の評価はうなぎ上りに高まっている。
確かにバブル経済崩壊後から33年ぶりに日経平均が最高値更新というのは悲観派からすれば一体何が起こっているのかということになるのだろうが、武者理論なら簡単に説明できる。
武者氏の日本復活=日経平均4万円実現のシナリオは以下の通りだ。まず米中の経済覇権争いは米国にとっては、そのスマホやパソコンの生産工場が大部分中国になっていることが大きなネックになっている。このため、米国は、半導体を含めIT製品の生産基地として、中国から日本への一大シフトを考えている。そのためには異次元の円安状況を作り出す必要があった。異次元の超円安で中国から日本への半導体及びIT機器の生産機能移転を行い、中国を骨抜きにする戦略が着々と進行しているというのだ。
文・三浦彰/提供元・SEVENTIE TWO
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