田原総一朗です。
今、米中関係が危機的状態だ。6月2~4日、シンガポールで、アジア安全保障会議が開催された。開催に先立ち、アメリカは中国側に、オースティン米国防長官と李尚福(りしょうふく)国務委員兼国防相との、現地での会談を打診した。
しかし、中国側から回答はなく、会談は実現しなかった。中国の頑なな態度の要因が、昨年のペロシ下院議長の台湾訪問、そして今年2月にアメリカが中国の偵察気球を撃墜したこと、この2点にあることは間違いない。
オースティン国防長官は、3日のアジア安全保障会議で、中国との関係について、「直ちに話すのが適切だ」と強調し、「台湾海峡で紛争が起きれば、壊滅的だ」と危機感を表した。
これに対して、中国の李国務委員兼国防相は、4日に「平和的統一のため最大の努力をするが、武力行使の放棄は約束しない」と述べた。
つまり、中国にとっては台湾の「統一」が大前提であり、そのためには武力行使も否定しない、ということである。アメリカの呼びかけには応じようとせず、対立が鮮明になった。
「台湾有事は、すなわち日本有事である」と言ったのは、故安倍首相だ。中国が台湾を攻撃すれば、アメリカも当然ながら武力行使せざるを得ないだろう。当然アメリカの同盟国である、日本もまた巻き込まれるのは必至だ。