レスキュー部隊が捜索で歩いた距離は延べ2500キロ

丁度その頃に軍隊のレスキュー隊と土着民捜索グループが子供たちを見つけたのである。彼らを乗せたセスナ機が墜落してから2週間が経過するまで不確かな状態が続いていた。17日目になって土着民から成る捜索グループが墜落した飛行機の残骸を発見。そこには3人の大人の死体は見つかったが、4人の子供の姿はなかった。この段になって、ペトロ大統領が初めて軍部に4人の子供の捜索命令を出したのである。

レスキュー部隊は120名の軍人で構成され、それに土着グループから73名が加わった。その隊員のひとりが「セマナ」に語ったのは8人から10人に分かれて捜索し、最終的に一つのグループが250キロから300キロは歩き回ったそうだ。だからレスキュー隊全員が探し回った距離は2500キロになるという。

捜索を開始してから10日目くらいに子供たちとの距離が100メートル近くまで接近したように思えると語ったのはペドロ・サンチェス指揮官であった。ところが、ジャングルの中で生息している動物などの鳴き声で騒々しく、しかも子供たちは常に隠れるようにして生活していたことから発見できなかった。

結局、行方不明になってから40日目に墜落したセスナ機から僅か5メートルも離れていないところで子供たちを発見したのである。その頃の子供たちはもう疲労困憊して意識ももうろうとなり移動する力も消滅しかけていた時だったという。

捜索犬ウイルソンが行方不明

子供たちは無地救出されたのであるが、捜索犬の一匹ウイルソンが今も行方不明になっている。子供たちの証言によると、2、3日子供たちと一緒に行動していたが、その後姿を消したという。また、レスキュー部隊によると、5月18日に見かけなくなり、2日後に100メートル先にウイルソンを見たので食べ物を見せ、一緒に同行している他の捜索犬に連れ戻すように指示したが、ウイルソンはそこから逃げたそうだ。6月6日に再び遠くにウイルソンが姿を現したがやせ細っていたという。

現在もウイルソンの捜索は継続している。しかし、ジャングルの中で方向感覚を失ったり、毒性の蚊にさされたり凶猛な動物に襲われた可能性もあるとみている。

子供たちはボゴターの病院で療養中だ。これから先、誰が子供たちの世話をするのかは擁護委員会の方の判断に仰ぐことになっている。