そこに登場したのがボイスコミックです。数年前から少しずつ出てきているのですが、本格化しそうです。これは動画ではないのです。マンガそのもの。ただ、マンガの吹き出しに入っているセリフを声優さんが演じてくれるのです。結構有名な声優さんも登場します。正直、これには驚いたです。自分で読む必要がなく、画像に集中しながら耳からセリフが入るのです。ある意味、完璧。これなら字を読む努力が不必要なのでもっと見たくなります。
ビジネスの観点からは読まない書籍やマンガを買ってもらうための必死の努力なのですが、これをやればやるほど読解力が無くなるのだろうな、これが私の思うところです。
今の子供たちはユーチューブにはまっています。ユーチューブにもいろいろありますが、わたしが感じるのはどういう番組にしろ、結論が3分で出てくるのです。大人も子供もそれでわかった気になってしまうのです。これが怖いのです。つまり自分の頭で考えておらず、ユーチューバーの言葉巧みな言い回しと画像を通じた説得力で「本当だ!」「へぇ!」「勉強になった!」になるのです。それはそれでいいのですが、付け焼刃というはこういうことで自分の身についていないのです。
カナダで仕事をしているとあることに気が付きます。こちらの人は字が書けないのです。昔からタイプライターなどを使うのが当たり前で自分の手で字を書くことはまずないのです。スマホで検索する時も「hey, Siri!」で入力しています。するとローカルの方がペラペラ滑らかにしゃべっている英語でも紙とペンを渡し、書かせると日本の中学生レベルでスペルミスだらけのわけのわからない文章が出てくるのです。これは驚きです。字が書けないだけはなく、文字を書く能力が完全に欠落しているのです。
これは日本でも将来起きかねない事態です。それが「文字が書けない日本人」であり、読解力が欠落して「文字が読めない日本人」になるのです。

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なぜこうなったのだろう、と考えると皆さん、一様に帰ってくる答えが「忙しいから本なんて読めない」です。現代社会が忙しいのは分かっています。私だって当然その一人です。ただ、忙しくなったというより欲張りになったというだけではないでしょうか?「あれも、これも」と予定を詰め込み過ぎる気がします。私は年間50冊の書籍を読むためにどれだけ時間を確保しなくてはいけないか、計算しています。週1冊、一冊は4-5時間かかかりますからそれを一週間に優先的に配分しているのです。その時はアポを入れません。こうやって時間を意図的に確保しないと我々はもう読むことなどなくなってしまうのでしょうか?寂しいというより危機感そのものなのです。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2022年12月17日の記事より転載させていただきました。
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