AIと人間のコラボレーションでマンガの神様・手塚治虫さんに挑み、新作「ぱいどん」を生み出した「TEZUKA2020」プロジェクトから3年。

その後も、プロジェクトメンバーであった慶應義塾大学栗原聡教授と取締役の手塚眞氏率いる手塚プロダクションが中心となり、「AIと人間の共創マンガの実現」に対する取り組みは続いてきた。

そして今年、ついに「TEZUKA2023」プロジェクトとして、彼らの取り組みが形になる。誕生50周年を迎えた「ブラック・ジャック」の新作が秋頃に公開されるのだ。

AIと手塚プロのクリエイターが手塚作品に挑む

「TEZUKA2023」は、手塚プロのクリエイターと「ブラック・ジャック」を学習したAIのインタラクティブなやりとりにより、「ブラック・ジャック」の新作を制作するというプロジェクト。

AIとクリエイターだけで“手塚作品”を制作するプロジェクト「TEZUKA2020」がスタートしたのは2019年のこと。2020年2月に新作「ぱいどん」が発表され、晴れて「TEZUKA2020」は終了。

AIとクリエイターによる制作活動も終了するかのように思われたが、水面化でその動きは続いていた。

同年7月、栗原教授と手塚プロらが中心となったチームによる研究継続が発表される。そこから約3年の年月を経た今年、ようやく“手塚作品”の新作「ブラック・ジャック」が日の目を見る。

「ブラック・ジャック」新作が今秋公開

「ブラック・ジャック」は、秋田書店「週刊少年チャンピオン」で1973年から1983年まで連載された手塚治虫さんの代表作。無免許の天才外科医ブラック・ジャックが活躍する医学ドラマで、今年作品誕生50年を迎える。

手塚プロの取締役である手塚眞氏は、今回の試みや新作について次のようにコメント。

「『TEZUKA2020』では『ぱいどん』というマンガを制作しましたが、そのときAIはまだマンガ初心者で、慎ましい関わり方でした。

それから3年。AIは飛躍的に進歩しています。もう初心者とは言えないということで、ハードルを一気に高くして、手塚治虫の代表作である『ブラック・ジャック』の新作に挑戦します。

『ブラック・ジャック』はエピソード数も多く、あらゆるジャンルを含み、手塚治虫のエッセンスが凝縮されている作品。そして、コロナ後の今の時代が一番渇望しているコンテンツと言えます。

今回はさまざまなクリエイターが実際にAIと共同制作することで、コンテンツ作りの新たな方法論を生み出せるでしょう。日本のマンガ文化が、また新しい未来を手に入れるのかもしれません」

マンガ文化におけるAIの可能性の広がりを、その目で確かめてみてほしい。

(IKKI)