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大衆車では意味がない
超豪華で高性能!しかし本質は細かなオーダーメイドにあり
大衆車では意味がない

英語でWolF、つまり狼を意味する頭文字から始まる「Wモーターズ」は、レバノン人のラルフ・デバスと、フランス人のアンソニー・ジャナレリーによって設立された事から、アラブ初のスーパーカーメーカーとも言われます(※)。
(※イランのサーイパーなど、中東・アラブ諸国に自動車メーカーがなかったわけではない)
特にジャナレリーは「ジャナレリー・デザイン-1」など少数生産の高性能スポーツカーを得意としたデザイナーで、ライカン ハイパースポーツや、その廉価版(それでも185万ドル)、ファニア スーパースポーツも存分に腕を振るってその名を轟かせた代表作です。
彼らが全く無名の新興メーカー、Wモーターズ初の市販車としてハイパーカーを発売したのは、とにもかくにも話題性。
トヨタやフォルクスワーゲンなど世界的大メーカーが、長い時間をかけて築き上げたブランドや信頼性で売りさばく大衆車に対し、中東の新興メーカーがいきなり大衆車を売っても「新興国がそれなりのクルマを作った」くらいにしか見られません。
しかしそれが莫大なオイルマネーをバックボーンとする超贅沢なハイパーカーであれば人々は注目しますし、自分たちが設計したボディの内部はポルシェチューンで知られたドイツのルーフが開発し、オーストリアのマグナシュタイア(※)が生産するとなれば納得です。
(※マグナシュタイアはさまざまな自動車メーカーから少量多品種生産から大量生産まで受託しているアウトソーシングメーカーで、トヨタ スープラ / BMW Z4も同社製)
超豪華で高性能!しかし本質は細かなオーダーメイドにあり

ライカン ハイパースポーツはルーフの3.8リッター水平対向6気筒ターボエンジン(780馬力)をリアミッドシップに搭載し、公称最高速度は395km/h、同じく0-100km/h加速2.8秒、0-200km/h加速9.4秒とされています。
極めて戦闘的なルックス、コンセプトカーのような内装、「リバース・ダイヒードラル・ドア」と呼ばれる後ろヒンジで後上方へ開くシザースドアや、大きく開いてメンテナンス性も高そうな前後カウルが特徴です。
しかし何より凄まじいのは「15カラットのダイヤモンド420個を埋め込んだLEDヘッドライト」であり、「それでも足りないならルビーやサファイアを埋め込むオプションもあり」とされている贅沢さ。
初期の発表では「もっと排気音が大きい方がいい」と言われれば爆音マフラーにしちゃいますし、せっかく7台しか作らないのだから、顧客の要望に大再現応えるべきであり、そこが従来からある量産車メーカーと最大の違いとしています。
しかもその7台のうち、ドバイ警察とアブダビ警察に1台ずつ納入(※)されたので残りは5台、実際に何台売れたかは不明ですが、340万ドルもするのに100件以上のオーダーが殺到し、宝石まで埋め込まないスーパーカーのファニア スパースポーツも作りました。
(※高性能を買われた高速パトロールカーというより、観光資源のようです)
世の中、100人かそこらくらいなら3億4億のハイパーカーにポンと払うセレブがいるもんですね…。