謎のポラロイド写真
結局、何の手がかりも見つからず、時間ばかりが経過した。そしてタラが失踪した翌年の1989年夏、タラの家からはるか離れたフロリダ州ポートセントジョーの食料雑貨店で、買い物に来た女性が駐車場に落ちていた1枚のポラロイド写真を見つけた。

その写真には手を縛られ、口にガムテープを貼られた10代にしか見えない少女と、その子よりさらに若い男の子の2人がカメラを見つめていた。彼らはどちらもベッドの上に横たわっていて、それはバンやワゴン車の後部スペースのようにも見えたが、背景が暗いので警察は撮影場所を特定できなかった。
写真が見つかった場所には白いトヨタのバンが駐車されていて、運転手は口ひげのある30代白人男性であった。写真の女の子はタラに似ており髪、目、皮膚の色合いが同じで、またタラに傷痕があった右脚と同じ箇所に変色が見られた。また写真の女の子の隣には無造作に本が置かれているが、それはタラの好きな作家の本であった。パティは写真の女の子は娘であると確信した。
フロリダ州で見つかった写真の調査を担当したガルフ郡のヌージェント保安官によれば、写真の2人は怯えているように見えるという。この写真を悪ふざけか、あるいはドラマ撮影中に撮られたものではないかという意見もあったが、ヌージェント保安官はこの写真は現実のものだと感じた。
タラが失踪した1年後、有名なテレビ番組の「Unsolved Mysteries」がタラに関するエピソードを放送した。そしてこの事件は、「America’s Most Wanted」と「48 Hours」でも取り上げられ、全米で誰もが知る有名な事件となった。
ある証言
この不思議な事件は全米中の話題になったにもかかわらず、未解決のままだ。もちろん、いくつかの仮説はある。
2008年にニューメキシコ州バレンシア郡のリベラ保安官は、タラに何が起こったかを正確に知っていると語った。地元の当時10代の少年2人が運転するトラックがタラの自転車にぶつかり、彼女は死亡した(事故が公になるのを恐れて、彼らがタラを殺したとの説もある)。
そして彼らの両親や友人が遺体や犯罪の隠ぺいを助けたというものであった。そしてリベラ保安官は彼らの名前も知っているが、証拠となる死体がないので、罪に問うことはほとんど不可能だと語る。そして死体はタラの家からそれほど離れていない場所に埋められ、犯人たちはもちろんその場所も知っているはずだと付け加えた。

この不気味な写真についても、謎は解けていない。FBIは写真を調べたが、その女の子がタラかどうかを判断できなかった。その後、スコットランドヤードの写真分析官が「写真の女性はタラ本人」と結論付けたが、一方で米国ロスアラモス国立研究所は「写真の女性とタラは別人」という結論を出した。
また写真の男の子は1998年4月に姿を消したニューメキシコ州のマイケル・ヘンリーではないかと言われ、タラの両親とマイケルの両親は共に捜査官に会った。しかしその後1990年にマイケルの遺骨がキャンプ場付近で見つかった。警察は彼が山で道に迷い、死亡したと結論づけた。その結果、今でも写真の若い女性と男の子がどこの誰であるか全く謎のままなのである。
年月は流れ2002年にタラの父親、そして2006年には母親が亡くなった。FBIはタラが見つかった時のために、母親のパティからDNAを採取しておいたという。両親とも最期までタラはどこかで生きていると信じていたという。
