仮に、岩田氏の発言の通りだとすると、岸田首相の政務秘書官だった翔太郎氏には、「公的スペースに誰を入れるか」を判断する独自の権限を持っていたことにはなるが、それは当然のことながら公的な必要性があることが前提であって、管理権を有する岸田首相の了解なく、忘年会の流れで親せきを連れて入る権限ではない。建造物侵入罪が成立する可能性があることに変わりはない。

「公邸忘年会問題」が未解決のままの岸田首相による解散総選挙はあり得ない

この問題は、岸田首相にとって、ジョンソン氏のパーティーゲート問題以上に、深刻かつ重大な問題である。それは、まさしく、日本にはびこる「世襲政治」の悪弊が一気に顕在化したものである。

この「首相公邸忘年会」の問題が、国会での追及もなく、曖昧なまま幕が引かれるとすれば、ジョンソン首相が国会での説明の在り方を与党議員にまで追及され辞任に追い込まれた英国とは、同じ議院内閣制であっても、民主主義のレベルにあまりに大きな落差があることになる。

このような重大かつ深刻な問題が追及されることもないまま、岸田首相が今国会末に国会を解散し総選挙に打って出ることは決して許してはならないことだ。それが現実に行われ、その選挙で、岸田首相が目論見どおり勝利を得るような結果になるとすれば、それは、日本の民主主義の「実質的な終焉」を意味するものとなるだろう。