マイナンバーカードのトラブルが大きな問題になっている。いろいろなトラブルが報告されているが、入力ミスは統計的に一定の比率で発生するもので、河野大臣が謝罪するような問題ではない。深刻なのは、公金受取口座を家族名義で登録したケースが(今日までにわかっただけで)13万件もあることだ。
その原因は、図のようにマイナンバーの情報にフリガナがないためだ。マイナンバーは個人単位なので、銀行口座も1人ずつもつのが原則である。たとえば池田信夫の子が池田太郎だとしても、信夫の銀行口座に太郎が税金の還付を受けることはできない。
ところが太郎が「イケダノブオ」というフリガナと口座番号を登録すると、審査を通ってしまう。同じ銀行だとチェックできるが、別の銀行だとわからない。太郎をノブオと読まないことは常識でわかるが、銀行の口座情報はカタカナなので、マイナカードの漢字と照合できないのだ。
なんでこんな間抜けな設計になったのか。家庭で使うエクセルシートでもフリガナを振るのに、カードを8400万枚も発行するまで気がつかなかったのか。今年3月に国税庁が気づいたようだが、それからでも3ヶ月たっている。
それはマイナカードが、戸籍の情報を入力するためだ。戸籍にふりがなをつける戸籍法の改正は今月2日に成立したが、今まで戸籍を登録した人は、法的には読み方が決まっていない。
マイナカードには全体設計がない。カードの所管官庁は総務省だが、e-Taxの所管は財務省、戸籍の所管は法務省、コロナ接種の所管は厚労省。いろいろな官庁が自分の都合でシステムを設計し、それを寄せ集めたので、パスワードも4種類ある。