長野県立美術館では、葛飾北斎と信濃とのかかわりを通じて北斎の画業を紹介する企画展「葛飾北斎と3つの信濃-小布施・諏訪・松本-」を、7月1日(土)~8月27日(日)の期間に開催する。
同展では、北斎が晩年に信州小布施で描いた肉筆画の他、北斎と信州に関わる門弟たちの作品など多数公開。また、本展に向けた調査研究の過程で発見された初出展となる北斎と門弟による肉筆画も注目される。
葛飾北斎の画業を信州の視点から振り返る企画展
葛飾北斎は、モネやゴッホ、ゴーギャンなど世界的画家を魅了し、ヨーロッパでジャポニスムという現象を生み出すなど、欧米の芸術家に強い影響を与えた天才浮世絵師だ。
「葛飾北斎と3つの信濃-小布施・諏訪・松本-」は、日本が世界に誇る浮世絵師・葛飾北斎の画業を、小布施・諏訪・松本という信州の視点から振り返る、長野県立美術館ならではの画期的な企画展となる。それでは、同企画展の内容を紹介しよう。
北斎の小布施における足跡を紹介する「第1章 北斎と小布施」
北斎が画業の晩年に何度も訪れた小布施における足跡を追いながら、東町・上町祭屋台天井絵(長野県宝)、岩松院天井絵の原寸大高精細複原図。そして、初めて小布施の地を出ることになった上町祭屋台(長野県宝)を展示室1にて紹介。また、本会場のみ、作品撮影が可能となる。
さらに、展示室2・3では、北斎の長く、幅広い画業の中から、錦絵の揃物や摺物、版本。そして、肉筆画など、北斎芸術を代表する名品の数々と新発見の作品を展示する。
北斎と諏訪の繋がりを俯瞰する「第2章 北斎と諏訪」
諏訪湖と高島城、そして富士山が一つの構図となった諏訪の情景は、「冨嶽三十六景」をはじめ幾度も描かれており、北斎が好んだモティーフだった。また、作品の少ない肖像画のなかで、北斎は諏訪高島藩の家老千野兵庫をモデルに貴重な一作を描いている。本章では北斎と諏訪の関係性に注目し、その繋がりを展示室3にて俯瞰する。
北斎の高弟抱亭五清の名品を展示する「第3章 北斎と松本」
北斎の高弟で独自の魅力的な美人図を数多く残した抱亭五清は 、その後半生を松本城下で過ごした 。その五清作品の名品を一堂に展示し、五清が絵師として松本平を舞台に活躍した足跡を紐解くことで、北斎の息吹が松本で花ひらいた様子を展示室3にて紹介する。
今から約260年前、江戸の町に生を受けた天才絵師・葛飾北斎。その最晩年を過ごした信州小布施を初めて訪れたのは、数えで83歳の時だったという。そして「小布施町・東町祭屋台天井絵 鳳凰」は、なんと85歳の作品だ。本展で、数々の作品を鑑賞すれば、稀代の絵師北斎の画に懸ける情熱を肌で感じることができるだろう。
信濃毎日新聞創刊150周年記念特別展「葛飾北斎と3つの信濃-小布施・諏訪・松本-」
会場:長野県立美術館
所在地:長野県長野市箱清水1-4-4 城山公園内
会期:前期 7月1日(土)~7月30日(日)、後期 8月3日(木)~8月27日(日)
時間:9時~17時
観覧料:各1,600円(税込)
(高野晃彰)