今後どう展開されるのか妙に気になる、驚きの新コレクション“パーペチュアル1908”|菊地吉正の【ロレックス通信 No.201】
(画像=Rolex名が誕生した1908年をモデル名に採用した新コレクション(©Rolex/JVA Studios )、『Watch LIFE NEWS』より 引用)

連載201回目となる今回は、ロレックス2023年新作第6弾として、パーペチュアル1908を取り上げる。これは2012年に登場した年次カレンダーモデル、スカイドウェラー以来となる久しぶりの新しいコレクションと言える。

そして今回、それに伴って2014年に自動巻きモデルとして全面リニューアルされた同じくクラシカルなドレスライン、チェリーニは生産終了となった。

さて、このパーペチュアル1908、みなさんはスポーツ系ではないためほとんど関心はないのかもしれないが、アンティーク好きの筆者にとってはかなり興味深い新作なのである。

そのひとつは、久しぶりにスモールセコンドモデルであるという点だ。これまでもスモールセコンドモデルはあったがすべて手巻き式だった。そのためちょっと調べてみたのだが、パーペチュアル(自動巻き)としては、おそらくはCal.A260の635系が搭載されていた1950年代前半までのセミバブルバック時代までぐらいで、それ以降はちょっと見つけられなかった(もし出ていたらごめんなさい)。つまりそれぐらいに珍しいことなのではないか。

今後どう展開されるのか妙に気になる、驚きの新コレクション“パーペチュアル1908”|菊地吉正の【ロレックス通信 No.201】
(画像=新作のパーペチュアル1908の範となったのであろうオイスターパーペチュアルと同じ1930年前後の手巻きのオイスターモデルの写真。ベゼルのコインエッジ装飾やデザイン性の強い時分針とインデックスが使われている、『Watch LIFE NEWS』より 引用)

加えて全体のデザインもロレックスにしてはかなり思い切ったものだと思う。古っぽい書体の数字に外周にはレイルウエイ。加えて古典的な意匠の時針など、公式資料には「1931年のオイスターパーペチュアルからインスピレーションを得た」と記載されているため、ロレックス初の自動巻きムーヴメントが搭載された初期のデザインということになる。ロレックスがここまで復古調を意識した作りをすること自体、これまでになかった新しい展開としてかなり興味深い。

なお、このパーペチュアル1908のモデル名にある“1908”とは、ロレックスの創業者であるハンス・ウイルスドルフが“Rolex”という名称を考案し、スイスで商標登録した年にちなんで付けられている。

もし今後、今回のような過去のアーカイブを意識した復古調のコレクションを展開していくのだとすれば、筆者的には大歓迎だし、ぜひそうしてもらいたいものだ。

(トップの写真の時計)
Ref.52508
261万9100円
K18YG(39mm径)。50m防水。自動巻き(Cal.7140)

写真◎Rolex


菊地 吉正 - KIKUCHI Yoshimasa

今後どう展開されるのか妙に気になる、驚きの新コレクション“パーペチュアル1908”|菊地吉正の【ロレックス通信 No.201】
(画像=『Watch LIFE NEWS』より 引用)

時計専門誌「パワーウオッチ」を筆頭に「ロービート」、「タイムギア」などの時計雑誌を次々に生み出す。現在、発行人兼総編集長として刊行数は年間20冊以上にのぼる。また、近年では、業界初の時計専門のクラウドファンディングサイト「WATCH Makers」を開設。さらには、アンティークウオッチのテイストを再現した自身の時計ブランド「OUTLINE(アウトライン)」のクリエイティブディレクターとしてオリジナル時計の企画・監修も手がける。
2019年から毎週日曜の朝「総編・菊地吉正のロレックス通信」をYahooニュースに連載中!

提供元・Watch LIFE NEWS

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