「草ヒロ」という言葉を知っていますか?自動車雑誌「ノスタルジックヒーロー」(芸文社)で連載されている「草むらのヒーロー」からきた略語とされています。
草むらや空き地、山間などにひっそりとたたずむ、もう動かない(動けない)であろうクルマ達。こうしたクルマはどのようにして生まれるのでしょうか?
たまにとんでもない名車も紛れてる「草ヒロ」
主に昭和の時代から平成の初期に活躍し、今はナンバーが取り外された状態で置かれているクルマのことを「草ヒロ」と呼ぶことが多いようです。車種は様々で、国産車から輸入車まで、様々なクルマを見ることができます。

昨今の旧車ブームや昭和レトロの人気なども重なり、草ヒロの認知度は日増しに高まっています。Twitterやインスタグラム、YouTubeなどには関連する投稿や動画が多数あり、日本各所の草ヒロを眺めることができるでしょう。
個人ブログなどでも草ヒロを扱うものが多く、撮影したクルマの詳細から、場所、その風景の説明など、事細かに記されていて、情緒を感じられるものが多いです。
草ヒロの展示?放置?に違法性はないのか
言ってしまえば草ヒロは、廃車処分をされていないクルマ達です。何らかの理由で持ち主がクルマをスクラップにせず、自宅で保管するという道を選んだのでしょう。
もしかすると、スクラップ業者などから、解体に大きなお金がかかると言われ、やむを得ず解体を諦めたものもあるかもしれません。
こうした状態で放置されているクルマに、違法性はないのでしょうか?

まず、ナンバーが外され(返還され)、廃車手続き(一時抹消・永久抹消)を確実に踏んであり、一種のオブジェとして私有地に管理されている草ヒロは何の問題もありません。筆者も親戚の家で、三菱ミニカの草ヒロを目にしていました。
しかし、私有地外に置いてあるとなると話は別。こうした草ヒロは放置車両ですから、不法投棄扱いとなり、非常に大きなゴミを置いていることと同じになってしまうからです。実際に放置車両に困り果てている人がいるのは事実で、こうしたものはコレクションや保管という概念を大きく超え、犯罪になります。

また、ナンバープレートが付いたまま放置されているのも問題です。ナンバープレートは、クルマが持っている資産ではなく、国や地方公共団体から交付されている、いわば借り物だからです。
車検が切れ、公道を走れなくなり、以降も公道を走らせることが無い場合には、ナンバープレートを取り外し「抹消」の手続きを各地の陸運局で取らなければなりません。
ナンバープレート付きの廃車や、土地の所有者が許可していない車両の放置は、違法と言わざるを得ません。
夢は海外進出!?ヒーローにはロマンがあった
草ヒロの中には、前述の通り、残念ながら私有地以外に置かれてしまったものも、数多くあります。しかし、こうした違法な放置車両は単純な不法投棄としても扱えず、クルマという特性上、勝手に処分や廃棄をすることも難しいのが現状です。
移動・廃棄するにもお金がかかりますし、クルマとして生きているのか否か(登録が残っているのかどうか)によって、対処方法が大きく変わってくるためです。

もちろんその中には、まだ現役で十分活躍できると思われるクルマも多く存在します。
例えばランドクルーザーやハイエースの類。海外では、日本の昭和中期から後期に製造された同車が、まだまだ元気に走っています。
日本国内で使用するには修理や改造にお金がかかるとしても、海外では十分に現役で走ってくれる可能性がありますし、部品の一部が再利用され、活躍するというケースもあります。
そこで、地方の買取業者の中には、こうした価値ある廃車を道端から無くし、犯罪抑止に繋げながら、新たな価値を創造する動きがあります。つまりは草ヒロを海外輸出してしまおうというわけです。
道端で見かけていたあの草ヒロも、いつの間にか海外へ輸出され第二・第三の人生を走り出すかもしれませんね。
文・MOBY編集部/提供元・MOBY
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