オトフェリン遺伝子変異が蔓延

 何十年もの間、ダドカイの聾唖症の原因は謎であった。

 それでも科学者らは遺伝的関連があると強く疑っていて、2014年のICMR調査を主導したインドの神経内科医、スニル・クマール・ライナ氏によると、この村の住民の大部分はインド、パキスタン、アフガニスタンにまたがる遊牧民族コミュニティであるグジャール族で構成されているという。村の住民の遺伝子検査により、タンパク質の欠乏を引き起こし、難聴を引き起こす可能性がある突然変異であるオトフェリン遺伝子変異が広く蔓延していることが明らかになった。そしてこのオトフェリン遺伝子変異は遺伝するのである。

 そのため専門家は、村内で数十年にわたって近親婚が繰り返されてきたことが、遺伝的突然変異が世代から世代へと急速に広がった原因であると考えている。政府のデータによると、少なくとも83人(そのほとんどが女性)が欠陥遺伝子の影響を受けており、村の55世帯がその影響下にある。隔絶された村の閉鎖性が招いた悲劇であったことになる。

たった1つの遺伝子変異で“世界一静か”になった村=インド
「Yahoo! News」の記事より(画像=『TOCANA』より 引用)

 また別の説では、ある時期にオトフェリン遺伝子変異を持った人々がこの村に多く移住してきた可能性もあるという。原因となる遺伝子の系統が複数確認されているからだ。

 そして聾唖者は行動範囲が狭く村に留まる傾向が高くなることもまた皮肉にも「世界一静かな村」を確かなものにしてしまっているのだ。

 したがって村の未来を変えるためにまず何よりも先に必要なのは、聾唖の子供たちが基礎教育を受けられる特別学校の開設である。読み書きを覚え、手話をマスターできれば自立した生活が送れるようになり、村の外にも出やすくなるだろう。いずれにしてもこの「世界一静かな村」への物心両面の支援が必要であることは間違いない。

参考:「The Daily Beast」ほか

文=仲田しんじ

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提供元・TOCANA

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