格闘技やウェイトリフティングには体重による階級が設定されているが、一方で相撲では小兵力士が活躍したり、カンフー映画では小柄なブルースリーが大男たちを痛快にバタバタとなぎ倒したりする。では地球上の生物で最もパワフルな種は何か? それはなんと自分の体重の1000倍以上の重量を持ち上げることができる“怪力ダニ”であった――。
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体重の1000倍以上の重量を持ち上げる“怪力ダニ”
逆立ち状態(支えがあってもよい)で腕立て伏せができるかどうかが、軍隊などで“使い物”になる体力の持ち主であるかどうかの簡単な判別法であるといわれている。つまり自分の体重分の重量を頭上に持ち上げられることだ。
自重を頭上に持ち上げられればまずは大したものだといえるのだが、実のところそれはまったく自慢にはなりそうもない。地球上には自重の1000倍以上もの重量物を持ち上げることができる驚異的な生物が存在しているのだ。
全長1ミリ前後で体重はわずか100マイクログラムほどのササラダニ(oribatid mites)は体重のなんと1180倍もの重量を持ち上げることができるのである。体重60キロの人間が70トン以上のバーベルを頭上に持ち上げていることに等しい。
ササラダニのこの驚異的なパワーの主な理由の1つは、そのハードな外骨格にある。外骨格がきわめて強固でしかも軽いため、より多くのエネルギーを筋力に費やすことができるのだ。
大きな生き物はより大きな筋肉を持っているが、その力の多くは自分の体重を支えることに費やされる。対照的に小さな虫は自重が極端に軽いため、より多くの筋力をウェイトリフティングに注力することができるのだ。