これは戦争で消耗した戦車や装甲車輌、その他の装備の補充分の生産、更に損傷した兵器の修理などでも必要です。特に光学、電子サイトはもっとも損傷が激しく、量産も効きにくいコンポーネントです。
インドに輸出、あるいは現地生産されているT-90シリーズの戦車にはタレス製のサーマルイメージャーが使用されていましたが、その後ロシアと西側の関係悪化に伴い、供給が止められました。これらの製品もロシアに「転売」された可能性があります。
それだけではなく、インドが使用している国産兵器のコンポーネント、例えばアージュン戦車などのロシア、フランス、イスラエル製のコンポーネントを取り外してロシアに輸出してシレッと、またフランスやイスラエルから輸入すれば問題はありません。これらの供給国も実態は分かっているでしょうが見てみぬふりをするでしょう。バレても知りませんでしたとシラを着ればいいわけです。
あとほぼ真っ黒な供給先は中国と迂回国のスーダンです。スーダンはロシアオリジン含む、中国製の兵器を製造していますが、工業レベルからして殆アッセンブリー生産でしょう。
中国がスーダンの武器産業を支援する理由 急激に勃興する武器輸出大国の秘密とは?
スーダン向けに中国がコンポーネントを輸出してそれがロシアに輸出されても、知りませんでした、とシラを切れます。
IDEXやAADなどの見本市でもスーダンのブースには不自然なぐらい中国人が出入りしていません。それはこういうスーダンを迂回ルートに使う気が満々だったからでしょう。
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東洋経済オンラインに以下の記事を寄稿しました。
記者クラブの防衛担当記者に軍事報道はできない 大臣発言を検証もせずに報じる新聞メディア
編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2023年6月5日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。