自給率を逆にエネルギー輸入依存度の観点から見れば、先進国では韓国と共にトップレベルであり、約9割を海外に依存するという危機的状況は、電力の自給率においても大きく変わることはないだろう。

このような電力のほとんどを海外に依存する日本の実態を鑑みれば、国内で自由競争をあおり、消費者向けに料金を下げようとしても、今回のウクライナ侵略のような不測の事態が突発的に起こればひとたまりもない。日本の特異なエネルギー事情を考えれば、やはり電力は多少高くても、国(公共機関)が直接管理・運営し、安定供給できるようにした方がよいのではないだろうか?

そのためにもまず政府がすべきことは、長期にわたる電力の安定した供給システムを構築することであろう。例えば、日本の天然ガス輸入先を見ると、比較的政情の安定したオーストラリアやマレーシアが中心ではあるが、以前ロシアへの経済制裁に絡み、オーストラリアが天然ガスの日本への輸出分を、不足している欧州などに優先して振り向けるのではないか、という情報が流れるなど、決して安閑としてはいられない状況である。

今後も世界的にエネルギー・電力の供給不足が起こることを想定し、最も不利な立場にある日本は、他国に先駆けて迅速に決断・実行しなければならないだろう。

対外的には、エネルギー輸入国の分散や関係国との信頼関係の構築を継続的に行うとともに、国内的には、世界のベストテンに入る広さを持つEEZに着目し、海底に眠るエネルギー資源の開発に努めてほしい。また現実的には、原子力発電の再開と再生エネルギーの効率化・コスト低減を並行して進める必要があるのではないか。

そして消費面においても、国民はいたずらに節約に走る必要はないが、これを機に電気に頼り過ぎない経済活動や日常生活の在り方を、真剣に考えていく必要があるのではないだろうか。

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