SUBARU & TOYOTA BRZ & GR86/FA24

種類:水平対向 4気筒DOHC16V
総排気量:2387cc
ボア×ストローク:94.0×86.0mm
圧縮比:12.5:1
最高出力:173kW(235ps)/7000rpm
最大トルク:250Nm(25.5kgm)/3700rpm
かつての「ドコドコ」という水平対向独特の鼓動とサウンドは、いまやどのスバル車に乗っても滑らかに変化した。水平対向らしさは薄らいだ気がする。とはいえ、ピストンが上下動する直列4気筒ではなく、水平方向に運動する(ゆえにボクサー)低く幅広いエンジンレイアウトだからこそ低重心が可能。「エンジン重量によるマス」を感じさせない軽快な操縦性は水平対向が生む最大の個性である。
世界広しといえど水平対向をメインエンジンとしているのはスバルだけ。もちろんポルシェもそうだが、いまや水平対向一本ではない。

現代の若いユーザーに向けて送り出されたFRスポーツクーペが2012年誕生のトヨタ86とスバルBRZ。ふたを開ければ、若者だけでなく往年の「AE86」レビン/トレノ世代にも刺さった。いまや老若男女の幅広いユーザーに受け入れられ人気モデルに成長している。
初代86/BRZのパワーユニットは2リッターのFA20型。スポーツの印象は高回転時に明白だった。だが燃費、環境性への配慮からギア比がハイレシオ化されたことも影響して、低中速トルクの乏しさが指摘された。中間加速では、やや非力。シフトダウンしなければ、期待する加速Gは得られなかった。ゼロスタート時も6MTの場合はクラッチミートの回転を高めにする必要があった
そこで2代目となるGR86/BRZは、現在のスバルが持つスポーツユニット、FA型をボアアップして2.4リッターのFA24型に変更した。FA24は輸出用にターボがあり、高出力に耐えられる実績のあるユニットだ。GR86/BRZ用は、ターボではなく自然吸気として、高回転高出力の「専用心臓」に仕上げている。スペックは235ps/7000rpm、250Nm/3700rpm。
排気量を2.4リッターに増大した効果で、懸案の低中速域のトルク特性は十分に補えた。6MTではクラッチミートした瞬間に「力強い」と感じられるほどになった。
高回転域でのトルクとパワーを持続させる技術は、トヨタが開発したダイレクト・インジェクションD-4Sが要となる。筒内噴射とポート噴射の併用が、低〜中〜高の全域で軽快さと力量感を生み、7500rpmのレッドゾーンまで即座に到達する。まさにスポーツカーにふさわしい回転特性である。

レスポンスのよさと、車速のノリが同調するダイレクト感は胸が躍る。豪快さと低速の粘り強さを合わせ持つ柔軟なFA24の特性は、2.4リッターの排気量による余裕といっていい。
FA24の出力キャラクターは、パワースライドのキッカケを把握しやすくした。減速から転舵してリアの荷重が抜けたところで、アクセルをひと踏みすると滑り出そうとしていたリアタイヤは空転とともに横方向のスライドを誘発。あとは余裕のトルク特性でスライドを止めるも、ドリフトに移行するまでアクセルを踏み込むも自在。FA24のエンジン特性を示す一例である。


提供元・CAR and DRIVER
【関連記事】
・「新世代日産」e-POWER搭載の代表2モデル。新型ノートとキックス、トータルではどうなのか
・最近よく見かける新型メルセデスGクラス、その本命G350dの気になるパワフルフィール
・コンパクトSUV特集:全長3995mm/小さくて安い。最近、良く見かけるトヨタ・ライズに乗ってみた
・2020年の国内新車販売で10万台以上を達成した7モデルとは何か
・Jeepグランドチェロキー初の3列シート仕様が米国デビュ