コンピューター上に構築されたバーチャル空間に、インターネットを通じて世界中の人が集まる“もうひとつの世界”メタバース。

江戸時代から続く伝統的な扇子の老舗「伊場仙(いばせん)」と、江戸をテーマにした仮想空間「江戸バース」が浮世絵美術館を開設した。第1弾として、風景画エリアを6月1日(木)に公開した。

江戸の町を再現した仮想空間「江戸バース」

Edoverse(江戸バース)は江戸をテーマにしたメタバースだ。町の監修には徳川宗家19代・徳川家広氏が参画する。

スマートフォン端末もしくはPC端末があれば誰でも自由に入場でき、Unreal Engine 5を使用した立体的で美しい江戸の町が広がる。

NFT・ブロックチェーン技術の発展で、デジタル仮想空間上でのアートの取引は今後ますます拡大していくことが予想される。

江戸時代の世界観を再現し、さまざまなコンテンツを発信するアートコンプレックスを展開することで、新たなユーザー体験を生み出したり、日本文化を啓蒙したりといったことが可能になる。

出展アーティストへの経済的還元にもつながり、持続可能な参加者還元型エコシステムの実現を目指すという。

ウェブサイトに構築された新時代の美術館「浮世絵美術館」

今回はサテライト空間として「浮世絵美術館」がオープン。インターネット上に構築された3Dの美術館で、江戸時代の浮世絵を自由に鑑賞したり、アバターに話しかけたりできる。今後は浮世絵NFTの販売も予定する。

現在は風景画が中心だが、今後は歌舞伎、風刺画、武者絵、春画の各エリアが順次オープンする予定だ。

開発のEdoverse Foundation、コンサルテーションのEdoverse社に並んでこのプロジェクトを手がけたのは、江戸時代から続く実在の扇子店「伊場仙」。

徳川家康と共に江戸に上がった浜松の商人、伊場屋勘左衛門によって創業され、日本橋で幕府御用の和紙、紙製品、竹製品などを扱っていたという。

江戸後期に団扇を手がけるようになり、初代・歌川豊国、歌川国芳、歌川広重など人気絵師の版元として浮世絵団扇を販売した。当時は大変な人気を博したという。

江戸の庶民に愛された浮世絵が、仮想空間で場所も時間も問わず鑑賞される。江戸と令和の時空を超えた融合だ。世界中から日本の美術工芸品を愛で、購入できる新時代がやってきた。

(SAYA)