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空力を追求したデザインに未来的装備を満載
最大の特徴はガバッと開く「キャノピー」
空力を追求したデザインに未来的装備を満載

ハリケーンのデザインは典型的なウェッジシェイプ(クサビ型)で、当時の未来的なデザインとしてコンセプトカーやスーパーカーで多用されたもの。
ただし後輪をスッポリ覆う空力追求型のリアフェンダーや、フロントフード上に飛び出すと見せて実はカバーが沈み、奥のヘッドライトが照らすタイプの変わった格納式ヘッドライトを採用するなど、単に当時の流行を追っただけではない独自性もあります。
262馬力を発揮する253キュービック・インチ(4,143cc)のV8エンジンはリアミッドにマウントされ、リアカウルがガバっと開いてエンジンへアクセスするあたりは当時のスーパーカーの文法に沿っており、0-400m加速は13秒台だそうです。
アレコレと計器類が並ぶコクピットのブラウン管モニターは時代を感じさせますが、これはいかにも悪そうな後方視界を補うバックモニター用で、さらに路面に埋設された磁気マーカーを使う原始的なナビゲーションシステムまであったのは、ちょっとコンセプトカー的。
テスト走行を精力的にこなす当時の記録映像が残っているなど、機会あらば市販したかもしれませんが、1970年代に入るとマスキー法による厳しい排ガス規制や、第1次オイルショックによるガソリン価格高騰が待っていたので、実現は難しかったでしょう。
最大の特徴はガバッと開く「キャノピー」

ただし、ハリケーンでもっとも特徴的なのはスーパーカースタイルや未来的な電子装備ではなく乗降システムで、なんと通常のドアではなく、ルーフやフロントウィンドウごとガバッと前上方へ開く…というよりせり上がる巨大な一体型キャノピー。
フォルクスワーゲン ビートルのフロアフレームへ同じようなキャノピー開閉式カウルを載せた「スターリング ノバ」という1970年代発売のキットカーがあったのを思い出しますが、それより早く発表されたハリケーンの影響があるかもしれません。
何しろフロントガラスごと一体式ですからAピラーなどなく前方・側方視界は非常に良さそうで、後方視界もバックモニターで補えますから、荷物を入れるスペースが見当たらないのを除けば意外に実用性は高そうです。
開閉は電動操作式の油圧シリンダーらしく、横転した場合の脱出にはおそらくガラスを叩き割るハンマーを装備したのでしょう。
他にも着座すると自動でロックされるシートベルト、安全タンクで乗員の安全を確保し、火災警報装置も完備していたと言いますから、万が一の時にも素早く脱出に動けますし、当時の流行だった安全性向上もしっかり抑えていました。
市販されたらかなり面白そうでしたが、現在はオーストラリア自動車史に名を残す1台として動態保存されるのみとなっています。
※この記事内で使用している画像の著作者情報は、公開日時点のものです。
文・兵藤 忠彦/提供元・MOBY
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