50年代~80年代風ファッションに昭和感満載の街並み、純喫茶にクリームソーダと、今、空前のレトロブームが巻き起こっています。「古き良き」は若者にとって“映え”の対象のようですが、ミドルエイジの我々にとっては甘酸っぱいノスタルジーに加え、「子どもの頃憧れた大人の世界」というキラキラした側面もあるわけで……。そこで、今回のトガルームは過去の名作へのオマージュとモダンなセンスを掛け合わせたインテリアに注目!
レトロとモダン、快適性と機能性のバランスが命です
シェーズラウンジソファ W2700mm×D1600mm×H750/390mm ¥1,501,830(税込)、アドネ・コーヒーテーブル Ф1030mm×H420mm ¥300,190(税込)、マルチライト・フロアランプ Ф360mm×H1480mm ¥254,210(税込)、マルチライト・ペンダント Ф360mm×H420mm ¥165,000(税込)、ラグ W3500mm×D2500mm \902,000(税込)/すべてグビ レトロとモダン、そのバランスがいいブランドとして戸賀編集長が白羽の矢を立てたのが、1967年、デンマークで設立されたグビ。もともと家族で始めた小さな家具店でしたが、現オーナー兼クリエイティブディレクターのヤコブ・グビが、世界中でつくられた過去の名作を発掘し、現代的なセンスと技術を加えてリ・プロデュース。それは「忘れられた過去の宝物を探す」作業だったといいます。
たとえば、フラヌール・ラウンジソファは、2006年にスティーネ・ガムとエンリコ・フラテージによって結成されたデザイン・デュオ、ガムフラテージが、19世紀のイギリスで愛されたロール・アームソファにインスパイアされて生まれたもの。端正なフォルムと快適性、昔ながらの職人技と現代的な利便性などを両立させた、伝統とイノベーションが融合したアイテムです。
「1950年代にジャック・アドネがデザインしたコーヒーテーブルもおもしろいですね。アドネは、革とガラスを組み合わせた家具を製作した最初のデザイナーとされ、エルメスのためにデザインした『アドネコレクション』でも知られています。革張りの円形フレームと三本脚がシームレスにつながり、サイドには真鍮製のリングをアクセントとしてプラス。ユニークなデザインながら、安定性や安全性も担保しているあたり、さすが!です」(戸賀編集長)
1972年発表のルイス・ヴァイスドルフによるマルチライト・ペンダントと、マルチライト・フロアライトは、ユニークなデザインと機能性の高さが魅力。各シェードは可動式で、組み合わせ次第で上向き・下向き・非対称と、光の角度を変えることができちゃいます。そんな茶目っ気も、リッチなオジサンに少年のココロを運んでくれるというものです。
先人たちの目のつけどころに脱帽!
Bテーブル W850mm×D850mm / Φ1160mm×H750mm ¥600,710(税込)、バイオリンダイニングチェア シートアップホルスタード・ウッドバックレスト W520mm×D540mm×H760mm/450mm ¥163,700(税込)、ターボペンダント S φ360mm ¥111,870(税込)/いずれもグビ Bテーブルは、フランスのミッドセンチュリーデザイナー、マルセル・ガスコアンが1950年に制作したダイニングテーブルをリ・デザインしたもの。彼は、コンパクトなフランス都市部の住宅事情を鑑み、ボートに多く見られる省スペース型テーブルのデザインを採用。このアイディアに戸賀編集長も、「ふだんは4名掛けの正方形で、折り畳んだ四方を出せば6名掛けのラウンドテーブルに早変わり。なんとも合理的でフレキシブル、それでいて、ミニマムなデザインが洗練されている。まさに、“過去の宝物”ですね」と、感心しきり。
このテーブルに合わせたのは、ガムフラテージが手掛けたバイオリンダイニングチェア。バイオリンの弦を思わせるバックレストから伸びる2本の線や、カーブを描くバックレストなど、創造性と大胆さがうかがえるデザインが目を引きます。それでいて、座り心地も抜群。細部にクラフトマンシップが宿る名品です。 頭上に揺れるルイス・ヴァイスドルフ作のロングセラー、ターボペンダントも、一見シンプルなデザインながら構造は複雑。それが、優美な軽やかさと力強いインパクトを演出しています。