24日、ウイグル自治区のウルムチ市にて火災が発生したが、コロナ対策により救助活動に遅れが出てしまい、10人もの死者が発生した。この事件が中国人の堪忍袋の緒を切らし、非合理的な「ゼロ・コロナ」政策が無辜の市民を死に追いやったとして、同政策の撤回と責任者である習近平国家主席の退陣を求める声が出てきている。

驚くのは、上記の批判が中国国内から出てきていることだ。中国国内では現在高度な監視社会が敷かれており、政府批判はご法度中のご法度だ。国外からの政府批判であっても、強制帰国させられてしまう危険性も指摘されている。しかし、中国国内のみならず、国外から、主に若者を中心として批判の声が声高にSNS上で散見される。

民主主義諸国が共通して持っている言論や表現の自由を希求する中国の若者の勇気は我々が数年前に抱きかけた、権威主義の魅力を真っ向から否定するものだ。権威主義は中国のゼロ・コロナやロシアのウクライナ侵攻が証明したように、柔軟性がなく、一度決まったら独裁者の都合で、国益に反する政策であっても継続される。一方、民主主義諸国は政策が誤れば、世論や選挙の力を経て、修正が適宜行われ、社会の持続性という意味では権威主義より優れている。

コロナウィルスが流行してから来年で3年目になるが、流行当初と今とで、ナラティブは完全に逆転した。現状においては感染を全く収束できずに、天安門事件と匹敵にする抗議運動に直面している、中国のコロナ対策こそが「コロナ敗戦」の称号を受け取るべきなのだ。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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