実際に車の原価はどのくらい上がっている?

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鉄鋼新聞に掲載されている鉄鋼市場価格は、月日を増すごとに値上がりしています。厚板(16~25mm)の1トン当たりの価格は、2022年2月に13万6,600円だったものが、2023年1月には14万8,100円と約9%値上がりしました。
プラスチック原料は1キロリットルあたりの平均価格が、2020年には3万1,300円だったものが、2022年には72,500円と2.3倍の価格になっています。
また、安全装備や環境対策にかかる費用も上乗せされていき、高性能で高機能の車を作るには、より多くのお金がかかるようになりました。
コロナやウクライナ情勢の悪化が叫ばれる前の2020年頃から考えれば、車の原価は1割以上の上昇に転じていると考えられます。
実際に、日産自動車と三菱自動車は電気自動車リーフやサクラ、eKクロスEVとアウトランダーPHEVの価格を改定しています。日産の主力EVであるリーフでは103万円値上がりしたグレードもあり、その値上げ幅は20%を超えました。サクラやアウトランダーPHEVでは4~5%の値上げ幅となっています。
新車が値上げされても自動車ディーラーには依然として辛い状況

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先ほどの定価300万円(税抜)の車を、ディーラーは240万円で仕入れたとします。定価と仕入れの差が、ディーラーの儲けとなるので、現状では60万円が利益となりますが、その通りの利益がディーラーに入るわけではありません。
ディーラーでは、営業マンの人件費のみならず、受付、整備の従業員に対する人件費はもちろん、水道光熱費、試乗車や展示車の購入費用、店舗の家賃など、様々なコストが生まれているからです。
また、ディーラーの販売活動で、最も大きな利益を出すのが新車・中古車の販売です。多くの台数を販売し、コストを回収して利益につなげなければ、お店を続けていくことは出来なくなります。
しかし、ディーラーが車販の利益を確定できるのは、車の登録や納車のタイミングであり、注文書に署名をもらった契約のタイミングではありません。つまり、新車の供給が遅れるということは、ディーラーの利益確定のタイミングも後ろ倒しになるということ。
新車の供給数が少なくなり、ユーザーに長い納車までの時間をもらっている昨今ですが、これはディーラーにとっても大きな問題というわけです。
原材料費高騰に加え、ディーラーの販売管理費(光熱費や人件費等)も下がる傾向はありません。メーカーの製造活動も難しく、コスト高が続く状態で、卸売価格の上昇もあるようです。
原価上昇に伴い、メーカーが新車の販売価格を値上げしても、納期は依然として長いまま。自動車ディーラーは多くの注文だけを抱え、自社の利益を出せずに、苦しい思いをしているといえるでしょう。
文・MOBY編集部/提供元・MOBY
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