参考までに、欧州では信者数だけではなく、修道院の数も減少してきた。例えば、ドイツの修道院の数は過去10年間で大幅に減少した。ドイツの修道院院長会議(DOK)が5月26日発表したところによると、女子修道院の数は2012年の1627件から2022年には964件に、男子修道院数は461件から385件にそれぞれ減少している。

DOK(会長はフランシスコ会副修道士アンドレアス・ムルク)によると、修道院の居住地には、100人以上の修道女や修道者がいる大規模な修道院から、教団のメンバーが2~3人しかいない小さなコミュニティまで、さまざまだという。

修道院のメンバー数は2022年末現在で1万4302人で、修道女は1万0953人、修道僧は3349人だ。特に、修道女の減少は急激で、過去20年間で大幅に減少した。2002年には、その数はまだ2万8973人だった。ドイツの修道女の約82%(8975人)は65歳以上で、それ以下の年齢層は13%(1422人)に過ぎない。

修道院が過去、果たした役割は大きい。社会から隔離された修道院で瞑想しながら、神への信仰を深める一方、多くの修道僧や修道女は社会的奉仕活動、医療活動を行ってきたことは周知の事実だ。現在のローマ法王フランシスコもイエズス会出身者であり、修道院生活を送ってきた高位聖職者は多い。前法王べネディクト16世は2010年2月2日、「僧職に奉じた人生の日」への記念礼拝の中で、「修道院生活の意義はカトリック教会にとって大きい。修道僧や修道女のいない世界はそれだけ(霊的)貧困となる。彼らは教会と世界にとって価値ある贈物だ」と強調し、修道僧や修道女の献身的な職務に感謝している(「修道院・出家時代は終わった」2013年11月5日参考)

世界的に毎年3000人以上の修道僧、修道女が修道生活から離れていくが、修道院離れの原因として「修道院システムが迅速化したインターネット時代にマッチできなくなってきたからだ」といわれる。当方は21世紀の現代、出家時代は終り、修道院制度は幕を閉じ、在家信仰、家庭教会が主流になっていくと予想している。

編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2023年5月31日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。