2023年、アメリカで相次いだ銀行破綻により世界大恐慌の懸念が高まっています。そのようななか、もっとも心配されているのが預金封鎖が起こること。預金封鎖とは金融危機や経済制裁などの理由で、政府や中央銀行が預金者の資金を一時的に凍結することです。
日本でも過去に発生しており、2024年の新紙幣発行により、一部ではその懸念がますます高まっています。この記事では、日本で起こった預金封鎖の事例と、資産を守るための防衛策5選をご紹介します。
預金封鎖とその意義
預金封鎖とは、国が緊急事態などの理由で、国民の預金を凍結することを指します。政府が財政危機や政治的混乱などに陥った場合に行われることがあります。
預金封鎖の主な目的は3つほど。
1.財産そのものを凍結することで銀行の取り付け騒ぎによる破綻などを防ぐ
2.出回るお金の総量自体を少なくすることによるハイパーインフレーション対策
3.預金封鎖と財産への課税をセットで行うことによる財政の改善
いずれも財政再建や政治的安定を目的としています。ちなみに預金封鎖のタイミングで紙幣自体をまったく新しく切り替えるというケースもあります。当たり前のことですが預金封鎖が行われると、国民は自分たちの資金にアクセスできなくなり、生活が困難になる可能性があります。
預金封鎖がもたらす影響
繰り返しですが預金封鎖が行われると、国民は生活が困難になる可能性があります。また企業も預金封鎖の影響を受け、支払いができなくなる可能性があります。総じて、預金封鎖は国の経済活動を麻痺させることになります。
過去の海外での預金封鎖事例
過去には、アルゼンチンやキプロスなどの国で預金封鎖が実施されたことがあります。これらの国では、金融危機や財政危機などにより、預金封鎖が行われました。このため、国内外の投資家たちは、預金封鎖のリスクを考慮して、資産を海外に移すなどの対策を取ることが必要になりました。
日本の預金封鎖の歴史
世界でたびたび起こっている預金封鎖ですが、実は日本でも1946年に行われています。また、今後、預金封鎖が懸念されている理由についても解説します。
新円への切り替え時の預金封鎖
1946年2月17日、日本政府は、新円への切り替え時に突然、預金封鎖を実施しました。大戦後の日本では物資不足に陥る反面、戦時中の金融統制は解除され極めて物価が上昇しやすい状況にありました。つまり預金封鎖の主な目的はハイパーインフレーション対策でした。
この時、預金には引き出し制限が設けられ、世帯主は300円、世帯員は100円までとされました。また同時に新円への切り替えも行われ、従来の紙幣の流通を止めています。
預金封鎖は最終的に最大90%の財産税をかけ、財産税を徴収した後に解除されることになりました。
2024年の新紙幣発行と預金封鎖の関連性
2024年には、新たな10,000円札、5,000円札、1,000円札が発行される予定です。
これによって、紙幣と硬貨の刷新が進められます。この新紙幣発行によって預金封鎖が起こるのではないかという懸念する声が一部で上がっています。前述の通り、大戦後にも預金封鎖と新円の切り替えがセットで実施されたためです。
しかし、これは根拠のない噂。日本の預金封鎖が行われたのは、戦後の混乱期であり、今のような現代では発生しないと言われています。また新紙幣発行は単なる「紙幣と硬貨の変更」であり、預金封鎖とはまったく別の問題です。
預金封鎖が起こる原因と日本経済への影響
預金封鎖が起こる原因は、政治的・経済的混乱や国家の財政危機などが挙げられます。物価の急激な上昇、国家債務の大幅な増加、国際的な信用不安、戦争などの要因が重なることで、預金封鎖の可能性が高まるとされています。
預金封鎖が実施されると、人々は預金を引き出せなくなり、生活に困窮することになります。また、企業にとっても資金調達が困難になり、経済活動が停滞することになります。このように、預金封鎖は個人だけでなく、経済全体に深刻な影響を与えることになります。
日本での預金封鎖の可能性
現在の日本経済状況から見て、預金封鎖が実施される可能性は低いとされています。日本の財政状況は、国債を大量に発行しているとはいえ、破綻しているとは言いがたく、デフレが進んでいる現状からも預金封鎖が起こることは予想されていません。
しかし、世界情勢や国内情勢が大きく変化した場合には、預金封鎖の可能性が出てくることは否定できません。そのため、資産防衛策を常に意識しておくこと自体は無駄ではないでしょう。
預金封鎖に対する備えと資産防衛策
万が一預金封鎖が起こってしまったときの備えと防衛策は主に以下の通りです。
・タンス預金を確保する
・貴金属への投資
・海外金融機関による資産保有
・海外不動産の保有
・ 海外移住の検討
タンス預金の確保
預金封鎖が起こると、銀行口座に預けたお金は引き出すことができません。そのため、現金を自宅に保管することが一つの対策になります。ただし、防犯対策が必要ですし、災害時にも被害を受ける可能性があるため、注意が必要です。
貴金属への投資
金やプラチナ、銀などの貴金属は、インフレが進んだ場合に価格が上昇することがあります。そのため、一定量の貴金属を所有することで、インフレの影響を受けにくい資産形成が可能です。
海外金融機関による資産保有
国内だけでなく、海外の銀行や証券会社に口座を開設することで、資産の分散が可能です。海外の金融機関は、国内の金融機関と比べてリスクが低いとされており、預金保険制度が整っている場合もあります。
海外不動産の保有
海外不動産の保有は、資産を分散することでリスクを回避する手段の一つです。不動産は物価変動に強く、長期的な投資としても有効です。ただし、不動産には、物理的な管理や税金の手続き、地域の法律や規制といった面倒な問題が伴います。また、不動産市場には、各国ごとに様々な規制があり、投資家にとってハードルが高い場合もあります。
海外移住の検討
もし預金封鎖が実施された場合、海外移住を検討することも一つの手段です。しかし、移住には多くの問題が伴います。現地の生活環境、言語や文化の違い、国際法的な問題などがあります。また、移住には莫大な費用が必要となります。移住するかどうかは個人の判断によりますが、最悪の場合に備えて、海外移住に関する情報収集を行うことは重要です。
まとめ:預金封鎖のリスクと過去の事例から学び、今後の対策を見直そう
今回は、預金封鎖に関するリスクと防衛策について、概要を説明しました。預金封鎖は、過去に日本を含む世界中で発生しており、将来的にも発生する可能性は否定できません。しかし、現代の日本では、預金封鎖が実施される可能性は低いと言えます。
それでも、最悪の事態に備えて、資産の分散投資や海外への投資、海外移住の検討など、適切な対策を講じることが重要です。また、情報収集を欠かさずに行い、自分自身で判断することが大切です。
文・オトナライフ編集部/提供元・オトナライフ
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