田中さんは言う。「ある人を敵に回して、人民の敵だ、国の敵だと言って分断をあおる」、そういう政治家が必ず出てくる。なるほど、周りの国を見ても、経済が悪くなると他国批判が始まったりする、そんなケースはいくらでもある。
隣国、あるいは同じ国内でも、違う民族を「敵」に仕立て上げる。人々の不満はその敵になだれ込み、殺戮が起こる。「同じ民族以外は人間ではない」と思えば、人は人を殺せるのだ。これは宗教戦争でも同じことだ。「異教徒は人間ではない」と思うから、殺せるのである。
世界から戦争をなくすのは、不可能なのか。田中さんは、戦争を起こさないためには、「力のバランスを整える」ことが大事だと語った。そして、もう一つ大切なことを言った。「偏見は無知から生まれる」。まさにその通りだ。政治家の戦略もあるが、偏見が生まれ、分断してしまうのは、やはり「無知」だからである。
G7広島サミットは、ウクライナのゼレンスキー大統領も参加し、無事開催された。各国の政治家たち、そして民間レベルでも、もっともっと話し合わねばならない。地道ではあるが、それが戦争を起こさない道なのだと思う。
編集部より:この記事は「田原総一朗 公式ブログ」2023年5月26日の記事を転載させていただきました。転載を快諾いただいた田原氏、田原事務所に心より感謝いたします。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、「田原総一朗 公式ブログ」をご覧ください。