気候・エネルギー問題はG7広島サミット共同声明の5分の1のスペースを占めており、サミットの重点課題の一つであったことが明らかである。ウクライナ戦争によってエネルギー安全保障が各国のトッププライオリティとなり、温暖化問題への取り組みが遅れることに対するG7の焦燥感の表われでもあろう。
前回の投稿「G7気候・エネルギー・環境大臣会合について」において書いたように、日本はエネルギー分野については石炭フェーズアウトの年限設定の見送り、天然ガス投資の重要性の強調等、ぎりぎりのラインで現実的なメッセージを盛り込んだ。しかしそもそも大前提である1.5℃、2050年カーボンニュートラルという目標が非現実的であるという問題はいかんともしがたい。

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温暖化防止のために不可欠とされるエネルギー転換については、G7のコミュニケよりもダニエル・ヤーギンが本年1月に投稿した“The Energy Transition Confronts Reality”(2023年1月23日)の方がはるかに胸にストンとおちる。その概要は以下の通りである。