
sasun bughdaryan/iStock
長崎県対馬市の商工会は、高レベル放射性廃棄物の最終処分場の選定問題に3番目の一石を投じる模様である。
選定プロセスの第1段階となる「文献調査」の受け入れの検討を求める請願を市議会に出す方針を5月19日に決定した。6月下旬の定例市議会で詮議される見通しである。
文献調査はすでに北海道の2町村(寿都町、神恵内村)で実施されている。

長崎県対馬市対馬市オフィシャルページより
寿都町、神恵内村が2020年11月に文献調査を受け入れてすでに2年半以上が経過している。
最終処分の事業主体であるNUMO(原子力発電環境整備機構)の資料によれば、文献調査の期間は2年程度とされている。
寿都町、神恵内村が文献調査に〝手をあげた〟ことで、全国からさらに手が上がるものと期待した向きもあったが、これまで全く音無であった。このまま行けば、寿都町長、神恵内村長はじめ関係者が様々な艱難辛苦を乗り越えて灯した「文献調査の火」は線香花火のようにわびしく燃え尽きかねないところであった。
なぜなら、文献調査から次の概要調査に進むためには、再度住民の意を諮る(例えば住民投票)必要があるし、なにをおいても知事の同意が不可欠になる。北海道の鈴木知事は文献調査にさえも難色を示していたし、概要調査には同意できないと言っていた——その状況は変わっていない。