大谷大学は、6月6日(火)~7月29日(土)の期間、大谷大学博物館にて開館20周年を記念した夏季企画展「賀茂の歴史と信仰」を開催する。
京都観光の折、上賀茂神社を訪ねる前に同展を観覧すれば、より充実した参拝になるだろう。
上賀茂神社の歴史と信仰の一端を紹介する企画展
大谷大学がある京都市北区小山の地は、かつて上賀茂神社(賀茂別雷神社)の膝下社領である賀茂六郷の一つを形成する小山郷という地域だった。
上賀茂神社は古代の氏族・賀茂県主一族の祖である賀茂建角身命が、神山に降臨した賀茂別雷神を奉斎したことに始まり、以後、代々賀茂県主一族が神職として信仰を守り、桓武天皇による平安遷都からは、京都を鎮護する神として、国家の厚い崇敬を受けてきた。
上賀茂神社の祭礼である賀茂祭は葵祭ともよばれ、「祭り」とだけいえば賀茂祭を意味するというほど有名な祭儀だ。また、賀茂祭に先立っておこなわれる勇壮な賀茂競馬は、寛治7年(1093)、宮中行事から上賀茂神社に遷された。
今年は、それから930年の節目の年にあたる。 本展では、江戸時代後期の画家・横山崋山が描いた「賀茂競馬図屏風」や、上賀茂神社関係の古文書などから、上賀茂神社の歴史と信仰の一端を紹介する。
企画展での必見は横山華山が描いた「賀茂競馬図屏風」
「賀茂の歴史と信仰」では近年、注目を集めている横山華山(1781~1837)が描いた「賀茂競馬図屏風」は見逃せない。社頭に大勢の見物客が押し寄せ、競馬を見ようとする様子や、祭礼の熱気が伝わってくる作品だ。
また社家・岡本保望の書いた古文書には、織田信長・豊臣秀吉・徳川家康などのビッグネームも記されていて、上賀茂神社がいかに崇敬を集めていたかを物語る。
本展の主要展示作品は「賀茂競馬図屏風」6曲1隻(江戸時代)の他、「西賀茂村山堺絵図」1舗(江戸時代)、「賀茂御神領六郷図」1舗(文政元年・1818)、「岡本保望興隆覚」1巻(元和7年・1621)、「官宣旨写」1通(江戸時代)、『万葉集 巻第六』1冊(寛永20年・1643)などだ。
山城国一の宮・上賀茂神社は、古来より広く崇敬を集める古社であるとともに、京都を代表する人気観光地でもある。約76万平米の広大な境内は森厳な雰囲気に包まれ、清らかな「ならの小川」が流れ、暑さが厳しい京都でも、夏の時期に訪れると、ことさらに気持ちがよい。
上賀茂神社参拝をより充実したものにするために、同社を訪れる前に、大谷大学博物館「賀茂の歴史と信仰」を観覧することをおすすめしたい。
大谷大学博物館開館20周年記念 夏季企画展「賀茂の歴史と信仰」
会場:大谷大学博物館
所在地:京都府京都市北区小山上総町
会期:6月6日(火)~7月29日(土)
開館時間:10時~17時 ※入館は閉館の30分前まで)
休館日:日曜日・月曜日 ※7/17(月・祝)は開館
観覧料:無料
(高野晃彰)