日本の広島で開催された先進7カ国首脳会談(G7広島サミット)は無事終わった。これからは欧州の動向に再び焦点を合わせていこうと考えていた矢先、ビックリするようなニュースがブダペストから入ってきた。ニュースバリューはあるが、日本のメディアでは余り報じられていないので、これまた驚くと共に、「日本にとって欧州はやはり遠い世界なのだ」という現実を改めて実感した次第だ。

欧州の移民対策でドイツのフェーザー内相(左)と会談するオーストリアのカーナー内相(2023年5月25日、オーストリア内務省公式サイトから)
本題。ブダペスト発のニュースは欧州が今、直面している移民問題と関連する。欧州連合(EU)の異端児と呼ばれ、欧州の統合の破壊者と受け取られているハンガリーのオルバン首相は国内で拘留中の外国人の不法移民密入国業者を早期釈放して、国外に追放しているという。この措置は密入国業者への恩赦ではない。外国人の移民密入国業者を刑務所に長期間収容し続けるためには経費がかかるからだ。もう少しシンプルにいえば、経費削減策だ。
ハンガリー政府が先月末に発布した規制によると、投獄された人身売買業者は72時間以内にハンガリーを出国すれば釈放される。ハンガリーの刑法は、密航者に対して通常2年から20年の長期懲役刑を規定している。
公式情報によると、ハンガリーでは現在、73カ国から約2600人の外国人が刑務所に収監されており、その大半が密入国で有罪判決を受けた犯罪者だ。ハンガリーのメディアによると、セルビア、ルーマニア、ウクライナから密航者700人が既に釈放された。ただし、釈放から72時間以内にハンガリーを出国しなければ、直ちに再逮捕される。
最近では、どの国でも麻薬関連法違反者が多く拘留されている。例えば、大麻を初めて消費した人間を全て逮捕して、刑務所に送れば、どの国の刑務所も囚人で溢れる。だから、重犯罪者を収容するために、軽犯罪者を刑務所に収容しなくてもいいように、刑法の改正を進めている国が多い。