ドイツの対日観は常に友好的というわけではない。日本が隣国・韓国との関係で険悪な時代、例えば、文在寅前政権下では、ドイツの対日観はかなり批判的だった。ベルリン市内の公園で慰安婦をモチーフにした「少女像」が建てられた時、ドイツは日本側の少女像の撤去要請を拒否して、現在に及ぶ。ドイツの日本観は、保守派政党「キリスト教民主・社会同盟」(CDU/CSU)主導の政権時代でも左派系の社会民主党(SPD)主導連立政権下でも大きな相違はなかった。

岸田首相、韓国人原爆犠牲者慰霊碑に献花後、尹錫悦大統領と首脳会談(首相官邸公式サイトから、2023年5月21日)

ショルツ首相と尹大統領(2023年5月21日、ソウルで、聯合ニュースから)
日本とドイツは第2次世界大戦での敗戦国だ。ドイツの場合、ナチス・ドイツ政権の戦争犯罪へのトラウマが大きい一方、日本も戦争の加害国として中国や韓国などアジア諸国の一部から批判され続けてきた。その両国は戦後、世界の代表的な経済大国として復興した。ドイツと日本は互いに意識するか否かにかかわらず、戦争の重荷と責任を感じながら終戦後、経済国として発展してきたという点で似ている。そして似ているがゆえに、相手の負の面に反発心が生まれてくるものだ(「独で見られる反日傾向と『少女像』」2020年9月30日参考)。