先進首脳会談(G7サミット)に参加した首脳たちは19日、広島市の平和記念資料館(原爆資料館)を訪問し、芳名録に記帳したが、日本政府の発表によると、バイデン米大統領は、「世界から核兵器を最終的に永久になくせる日に向け、共に進んでいきましょう」と記したという。サミット議長国の岸田文雄首相は、「歴史に残るG7サミットの機会に議長として各国首脳と共に『核兵器のない世界』を目指すためにここに集う」とつづったという(時事通信)。

平和記念資料館で芳名帳に記帳するG7首脳たち(2023年5月19日、首相官邸公式サイトから)

バイデン大統領は世界で最初に原爆を投下した国の代表として、岸田首相は世界で唯一の被爆国・日本の代表として、「核兵器のない世界」の実現を願って記帳したわけだ。原爆投下国と被害国の違いはあるが、「核兵器のない世界」という世界万民の願いを改めて掲げたわけで、歴史的な瞬間だったといえるだろう。

第1次冷戦の終了直後、ジョージ・W・ブッシュ米大統領時代の国務長官だったコリン・パウエル氏は、「使用できない武器をいくら保有していても意味がない」と主張し、「核兵器保有」の無意味論を展開したが、第2次冷戦時代に入り、「使用できない武器」といわれてきた核兵器に触手を伸ばす国が出てきた。