話が少し逸れたが、歴史的に見ても、激しい差別がない日本において、なぜ、同法案を成立させる必要があるのか?
古屋氏は「G7の中でLGBTに特化した法案を持つ国はない中、日本はややもすると人権に後ろ向きと謂れのない風評被害(批判)に対して、議長国として主体的に岸田首相は『我が国政府・議会は理解増進法案を取り纏めた。日本国内は歴史的に性差に対し鷹揚な文化を形成してきた。しかし、世界の流れを捉え、日本は先駆けて今般このような法案を取り纏めた。文句あるか!』と堂々と主張してほしい」と書いている。
古屋氏のなかには「現状では(筆者註=LGBTの人々に対する)社会の理解が進んでいるとは言えない」との認識もあるのだろうが、前掲の文章を読むと、欧米からの「謂れのない風評被害」があるので、率先して、同法案を成立させようとしているかに取れてしまう。
「謂れのない風評被害」(人権に後ろ向きとの批判)があるならば、それは嘘だと堂々と主張すれば良いのであって、わざわざ「LGBT理解増進法」などを成立させてしまえば、かえって、日本はLGBTの人々に理解がないとの誤解を生んでしまうのではないか。私はそのことを心配している。