5月3日(水・祝)に東京・北とぴあで『第31回東京ノービスボディビル選手権大会』(以下、東京ノービス)が開催され、ミスター75kg以下級で筋トレYouTuberの山﨑恭介(やまざき・きょうすけ/26)選手がキレッキレに絞れた肉体を披露し、5位入賞を果たした。そんな山﨑選手が実践した減量法とは?
東京ノービスは日本のボディビルシーズンの開幕を告げる大会で、元々は「新人戦」としてその歴史をスタートさせたが、徐々にレベルが高くなり、今となっては「もはや新人戦ではない」と言われるようになっている。
今大会には延べ226名の選手がエントリーし、中でもボディビルでは熱い戦いが繰り広げられた。
そのボディビルで一際歓声の大きかった選手が、主に「あるあるネタ」などをYouTubeで発信している山﨑恭介選手だ。オリジナリティ溢れるユーモアとタブーに突っ込んでいく姿勢から、今筋トレ界で非常に注目を集めている。
「筋トレには、7年近く取り組んでいます。2019年に東京オープン(現東京ノービス)で5位になり、憧れの『なかやまきんに君』さんと並べました(なかやまさんは2位)。その後、2021年にも同大会に出場し、今度は予選落ちに終わりました」
2021年の東京ノービスでは、減量に大きく失敗してしまったという山﨑選手。何でも、かなり無茶な減量をしていたそうだ。
「体重を75kg以下に落とさなければいけないんですが、計量がギリギリ過ぎて、何も食べない・飲まない、という無茶な減量を行っていました。ジムで気絶して救急車で運ばれたこともあります(笑)。結果計量はパス出来たのですが、身体は全然ダメでしたね」
その大きな失敗から学んだことを、今回の減量に生かしたという山﨑選手。それまでの根性論的アプローチから、大きく方向転換したという。
「オーダーメイドの体型改善やコンテスト出場者の筋トレ、減量などをコーチングする『ATHLETE BODY』さんからサポートを受けました。食事やトレーニング内容に加え、睡眠やストレス度合いを週に1度チェックしてもらい、科学的な根拠をもとに減量を進めていきました」
「また、大会前に体重が落ちず困っていた時、『カロリーは変えずに、食材だけ変更しましょう』とのアドバイスを受け、じゃがいもを白米に、キノコ類をレタス、白菜などの食物繊維が比較的少ないものに変更しました。そしたら、翌日に2kgストっと落ちていました。体質的にむくみやすいので、むくみにくい食材に変更したことが功を奏しましたね」
食物繊維は一般的に身体にとってメリットしかない栄養素だと思われがちだが、過剰摂取によるデメリットも報告されている。代表的なものとして、食物繊維は体内の水分を吸収してふくらみ、消化をゆっくりにして排出されにくくなることが挙げられる。腸内環境を整えるために摂った食物繊維で便秘になるという、なんとも逆効果な結果となりかねないので注意が必要だ。
そのような食材の特性の違いを活用し、減量に成功した山﨑選手。同時にYouTuberでもある山﨑選手は、ある“伝えたいこと”のために情報発信しているという。
「他のスポーツと比較して、ボディビル競技はステロイド問題が深刻なんです。技量が最高峰な選手がプロであるはずなのに、ステロイドを使って、いわば『ズル』をしてプロになるという世界ですから。もちろん尊敬できる方々もたくさんいますが。なので、そのようなフィットネス業界の現状はおかしいということを、自分なりにユーモアを交えて面白おかしく発信しています」
フィットネス業界の矛盾に対して、積極的に働きかけている山﨑選手。そんな山﨑選手が抱く今後の目標とは?
「今回の東京ノービスでは、楽しかった気持ちよりも、優勝を逃した悔しさの方が大きいです。ですが、自分の生まれ持った身体を極限まで追求するボディビル競技がますます好きになりました。最終的には、ボディビル競技の最高峰の舞台である日本ボディビル選手権大会においてファイナリスト入りすることが目標です」
今回の大会で、ボディビルの奥深さを実感した山﨑選手。今後も、フィットネス業界に挑み続ける。
取材・文:FITNESSLOVE編集部 撮影:中島康介