意見が割れるのが気候変動、エネルギー問題、デジタル対応あたりになるとみています。またグローバルサウスの声をどう取り込むかも理念と実態の差が浮き彫りになるでしょう。G7は主導権をグローバルサウスに取られたくないのは自明なのです。

よって個人的にはG7での共同声明は凡庸で、当たり障りのないもので終わるだろうと思います。極論すれば今、私がこのブログで共同声明の内容を書け、と言われても書けるぐらいのものになるでしょう。これはG7ですら利害関係が一致せず、一枚岩ではないので取り繕い、政治的判断をし、グループ結束のアピールにするためです。「化粧をしたG7リーダーたち」というのが私の思うところです。

今、世界で起きていることはいじめっ子がいるのでいじめられっ子がそれに負けないようにグループ化を進める、だけど「どちらもいやだわ」という第三極、つまりグローバルサウスが、「私たちはどちらにも味方しない!」と存在感をアピールするのです。つまりバラバラ。

なぜ、利害関係が一致しなくなったのか、といえば社会が成熟化し、情報が共有できるようになったから、としか言いようがありません。満たされるまでは国家は挙国一致体制で進みやすいのですがある程度のレベルになるとバラバラになります。これは人間社会の宿命と言ってよいでしょう。アメリカはなぜバラバラで、日本はなぜ30年もさまよったのか、中国は共産体制なのになぜ世界で最も貧富の差が激しいのでしょうか?安直かもしれませんが、マズローの欲求5段階説を国家のレベルに応じて当てはめていくと割とわかりやすい仕分けができるのです。アフリカの一部の国は生理的欲求、ウクライナは安全の欲求、多くの東南アジア諸国は社会的欲求、日本は承認欲求でアメリカや中国が自己実現欲求かもしれません。

もちろん、多くの国家同士がコミュニケーションをし、連携していくことは地球全体としては重要なことなのですが、利害関係だけを見れば二国間の方がやりやすいのです。これはトランプ氏の発想にも重なります。多国間連携は必ずどこかに妥協が入る、そして妥協の度合いが大きいのはマズローの5段階で下のクラスで、上に譲歩するということかもしれません。「長いものには巻かれろ」でしょうか?

G7では私のこんなつぶやきを吹き飛ばすような大いなる成果を期待したいところですが、今回は招待国が多いのでG20並みに困難がつきまとうかもしれません。

では今日はこのぐらいで。

バイデン大統領と岸田首相 首相官邸HPより

編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年5月19日の記事より転載させていただきました。