梅雨前や真夏の渓流エリアは、全体的に渇水となることが多い。元々警戒心の高い渓魚達の身を隠せるエリアが少なくなることで、攻略はより難しい物へとランクアップする。今回は、渓流エサ釣りの渇水期における攻略法を紹介しよう。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)
渇水期の渓流釣り
渓流というエリアは実に変化に富み、四季折々の影響をモロに受ける場所だ。だが、平地に比べると水温は一年を通して低く、流れが強いために溶存酸素量が豊富で、警戒心が高い渓魚達が身を隠せる場所(水深のある淵、大岩や倒木など)が豊富にある。渓魚達はこの環境を好むわけだが、渇水時はこれの真逆の状態になるため、必然的に攻略が難しくなるのだ。
逆にいえば、渇水期であってもこれらのポイントをしっかり押さえれば、大釣りとまではいかないまでも、十分渓魚に出会えるチャンスがあるといえる。
渇水期のポイントの選び方
渇水期に訪れた渓流で狙うべきポイントはどのような場所なのか。具体的な例を見ていこう。
元の水量が豊富なエリア
大きな谷や本流・支流の合流点といった「元の水量が多い場所」であれば、水量が少ない場所と比べると渇水の影響を受けにくい。また、常に流れが強いエリアが存在するため溶存酸素量も比較的多く、渓魚が居つく確率が高いのでオススメだ。
ダムの周辺
水を蓄えているダムの周辺は、ある程度水量管理が行われている。そのため他のエリアに比べて水量が安定しているケースが多い。くれぐれも放水のサイン(看板やサイレンなど)には気を配っておこう。
源流域
源流域は、水量が多い場所ではないためポイントは限られるものの、その限られたポイントにほぼ確実に魚が居つくので、攻略場所を把握しやすい。また、夏場なら源流域の方が水温が低いため、避暑のために遡上してきた渓魚の他、産卵前に遡上してきた魚も狙い目となる。
淵や瀞(トロ)・堰がある場所
渇水により水量が減少すると、水深が浅くなりすぎて渓魚達が身を隠す場所が減る。こうして行くアテが無くなった渓魚達は、水深のある淵や瀞(トロ)・堰の下に集まってくる可能性が高い。こういった場所は日ごろからマークしておこう。
渇水期の釣り方
では我々アングラーは、渇水期にどのような対策を行うべきなのか。詳しく紹介していこう。
入渓はとにかく慎重に
水量が減ることで、渓魚達は音・天敵の影に対してよりナイーヴになっている。岩を転がすような音は地面を伝って水中に伝播するため、出来る限り静かに入渓することを心がけよう。可能であれば、影を水面に落とさないよう身を屈めて入渓するのもいい。立ち位置も、普段より1~2歩後ろに立つようにしよう。
ライン・針はワンランク落とす
水量が減って緩くなった流れに馴染むように、ラインはワンランク細くする。針サイズもワンランク小さくしておいた方が、エサをより自然に流すことが出来る。
オモリを軽くする
水深が普段よりも浅くなっているので、根掛かりを避けるためにも、4号や5号といった小さなジンタンを積極的に使おう。渓魚は自分の体高が隠れるくらいの水深(15cm~20cm)があればエサを食いに来る可能性があるので、時にチャラ瀬を流してみるのも良い。また、ノーシンカーでブドウムシやバッタを水面に浮かせて釣る「エサテンカラ」と呼ばれる釣り方も是非試してみてほしい。
渇水期に強いエサを使用する
陸生昆虫(バッタ)やブドウムシ(イモムシ類)は、渇水期に渓魚達が盛んに捕食するエサ。時に草むらでバッタを採集して使用すると、思わぬ釣果を得られることがある。木の下の影になった部分では、ブドウムシや小型のセミが有効なこともあるので、積極的に使用してみよう。
水深がある場所を見逃さない
たとえ小さな落ち込みであっても、その周囲より一段深くなっているだけで渓魚に出会える確率がグッと上がるのが渇水期。小場所も飛ばすことなく丹念に攻めていこう。