釣り人たちから「ラグビー」と呼びならわされる小魚の漁が、石川県の海で行われています。
(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)
石川で「キヌバリ漁」が盛期
キヌバリというあまり馴染みのない魚の漁が、能登半島の七尾湾に面する石川県穴水町で最盛期を迎えています。
当地におけるこの漁は例年4月10日に解禁されています。今年も漁期が始まると数人の漁師が七尾湾に出て、浅い海底の海藻に潜むキヌバリを漁獲しています。
漁獲されたキヌバリは佃煮などで賞味され、高い評価を受けることもあるそう。今年の水揚げは今のところ例年並みとのことで、例年通りならこのまま6月上旬まで続けられます。
珍味でもあるキヌバリ
キヌバリはハゼの一種で、体長は大きくても10cm程度の小魚です。
石川県では、淡水に生息する小型のハゼやカジカのことをゴリと呼ぶのですが、このキヌバリも「海ゴリ」と呼ばれることがあります。
ゴリの仲間は小魚ですが、非常に良い出汁が出るため、高級食材として珍重されています。そのことからも、このキヌバリが同様に美味しいものだと認識されていることがわかります。
「ラグビー」と呼ばれる理由
キヌバリは実は石川周辺のみではなく全国的に生息している魚です。しかし一般的には食用にされることはほぼありません。
その理由としてはやはり小さいこと、そして見た目が鮮やかであるため食用魚と思われにくいというのが挙げられそうです。食用にされないためマイナー魚であり、知名度は低くなっています。
そんなキヌバリですが、浅瀬にいて貪欲なため釣りではしばしば顔を見せる魚です。そして釣り人の中では「ラグビー」という通称がよく知られています。由来はそのハッキリとした横縞模様が、ラガーシャツをほうふつとさせるから。
ちなみにこの縞模様が目立つためか、生きたまま釣りエサに使うとよく釣れるとされます。とくにアイナメの特エサと言われており「ラグビー釣り」は近年人気になっています。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>
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