5月16日(火)に、フジエテキスタイルは「テキスタイルアートコレクション」を発売。
一作目は、パリ装飾美術館で披露された西陣織の作品「光る山」をアートパネルにしたもの。3柄3種類のサイズを用意している。作品それぞれのストーリーを紹介しよう。
ストーリーのある「テキスタイルアートコレクション」
フジエテキスタイルは、テキスタイル(布)で生活空間を彩る提案をおこなうデザインカンパニーだ。
テキスタイルから生まれた上質なアートピースを紹介する同社の「テキスタイルアートコレクション」には、織や染めに特別な技術やストーリーを持ったものが使われている。
滋賀県の自然を描く
今回のコレクションの一作目は、パリ装飾美術館「ジャポニスムの150年」展で披露された西陣織金襴の作品「光る山」だ。
デザインは炭酸デザイン室によるもの。同社は水野智章さんと水野若菜さんによるデザインユニットで、滋賀の自然豊かな土地にアトリエ・ギャラリーを構える。自身のものづくりの源は故郷にあるという思いから、同作品には滋賀県大津市の「立木観音」と参道、それを取り巻く立木山の自然を描いている。
三部作からなる「光る山」は、春「霞の山」・夏「涼の山」・秋「紅の山」という季節ごとの山々を、西陣織金襴の鮮やかな絹糸と金糸で表現。フジエテキスタイルでは、反物として誕生した同作品を、3柄3サイズのアートパネルとして販売する。
パリ装飾美術館で注目された「光る山」
「光る山」は2017年に富山県美術館で、18年にはパリ装飾美術館の「ジャポニスムの150年」展で披露された。
同展は、日仏友好160周年を記念して行われたもので、同美術館が持つ1860年代から現代までの間に収蔵した日本コレクションと、日本から“今”の特徴的な動きを表す作品が選定、出品されている。大規模な展示空間で、様々な分野を超えてデザイナーや名工の作品が展示された。
その中で「光る山」は、西陣織金襴の伝統的な技法で現代的なオリジナル柄を表現したという“革新性”と、作品に込められた自然やものづくりに対する真摯な姿勢が評価された。選考の段階から「ミラクル!」「なぜこのようなものが出来るのか?」と驚嘆され、開催期間中は来場者の注目を集めている。
京都の豪華な伝統工芸「西陣織金襴」
京都に伝わる西陣織は、美しく染められた色糸で文様を織り上げていく伝統工芸だ。古墳時代から織られ始めた西陣織の中でも金糸、箔糸を使用する「西陣織金襴」は風合いが一段と豪華で、約1200年前の平安時代には盛んに織られるようになる。浄土信仰の隆盛により、「極楽」を表現する絢爛な荘厳具として、神社仏閣の堂内を美しく彩ってきた。
金襴の技術を駆使した作品は、まるで曼荼羅のような美しさをもち、絹糸特有のふっくらとした艶や鮮やかな配色はもちろん、角度によって変化する色合い、眩しいほどの金糸の輝きが感じられる。
伝統的な技法によって生み出された新しいアートが、自宅に彩りを添えてくれそうだ。
テキスタイルアートコレクション「光る山」
W600×D27×H600mm 275,000円
W600×D27×H310mm 165,000円
W250×D27×H250mm 66,000円
(田原昌)
※表示価格は全て税込