地球温暖化問題については目標と目的意識をもって進んでいますが、ややもすると世界の政治家による政争の具と化すこともしばしばあります。環境問題の改善を推し進めるというのは耳障りが良いこともあり、世界のリーダーたちはそれを声高に叫ぶことで最終的には自分の地盤をしっかり築くために時として強硬な姿勢も見せます。なぜか、温暖化問題については学者やそれに取り組む企業の声よりも政治のリーダーたちが集まる討論の中で話が展開しているように思えてなりません。

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先日、私はこのブログでエネファーム(家庭用燃料電池)は一つのアプローチではないかと申し上げました。エネファームは価格が高いことが弱点とされます。家庭用の導入には100万円程度の初期投資が必要なのですが、補助金は現在15万円程度。これを2倍ぐらいにしたらずいぶん普及するのではないかと思います。

もうひとつはヒートポンプです。一般の電化製品にはエアコンや冷蔵庫にヒートポンプが使われていますが、これをもっと汎用させるということが考えられます。これはいわゆる空気熱を利用する仕組みであるため、再生可能エネルギーの一種であると定義づけられています。例えば日本の家庭からのエネルギー起源のCO2の排出量は約1億6千万トンなのですが、この内訳は暖房が22%、冷房が4%、給湯が21%なのです。ということは温める部分に非常に多くのCO2発生が出ていることがわかります。

給湯をエコキュートにすれば28%の省エネ、電気ストーブを止めてヒートポンプ暖房にすると7-8割の省エネになるとされます。こう見るとCO2削減は企業がリードする形で進んでいますが、一般家庭での温暖化対策を推進すればより日本式の温暖化対策として加速につながると言えそうです。

さて、CO2削減の手段はいろいろ議論されてますが、その中で「嫌われるアンモニア」について考えてみたいと思います。アンモニアは燃やした時にCO2を出さない物質として水素と比較されます。が、毒素があるため、扱いづらいとされます。しかしCO2削減に限ってみれば日本の場合はアンモニアに軍配が上がります。理由は液化させるのに水素はマイナス253度、アンモニアはマイナス33度であり、室温である20度で8.5気圧(自転車のタイヤの空気圧程度)でも液化できるメリットがあり、水素を運ぶより安価です。欧州はパイプラインなどがあるため、水素利用を主張をしていますが、島国でパイプラインが繋がっていない日本はアンモニアの方が優位です。