業界の立て直しには若者、女性の確保がカギになる
バス業界が機能不全に陥れば、利用者の多い路線でも便数を減らすことはあり得ると戸崎氏は指摘する。では運転手不足を解消するためには、どんなアプローチが必要になるのか。
「まず言えることは運転手の賃金を上げること。そのためには、適切な運賃はどうすべきか見直しが必要になってきます。運賃の見直しには、国の認可が必要になるので簡単には行えませんが、公共交通を担うバス会社の社会的役割の大きさを考慮すると、運賃の値上げを前提とした議論を進めていくべきでしょう。
また長時間拘束を考慮したうえで対策するのであれば、セーフティ・サポートカーS(衝突被害軽減ブレーキ、ペダル踏み間違い急発進抑制装置等を搭載した車両)の導入を進めるのも有効な手段です。もちろん今のバス業界の経営状態では苦しいかと思いますので、国が補助や支援を行い、購入を促していく必要がありますね」(同)
そして若者や女性をいかにしてバス運転手として呼び込めるかどうかが、運転手不足打破の鍵になるという。
「バス運転手の平均年齢は高いため、体力があって長く働ける若者を集めることが今後の課題になってきます。そのためには、路線バスを運転できる大型二種免許を取得しやすくしてみるとよいのではないでしょうか。現状、免許取得には数十万円もかかりますし、ハードルが高いので、緩和することで多くの若者が集まりやすくなります。また若者と同様に、従来数が少なかった女性獲得も運転手不足問題を突破する要素になります。コストはかかりますが、運転手獲得のためには女性用のトイレや休憩所の設置を行い、女性が参入したくなる、働きたくなる環境を提供しなければならないでしょう。
そして当面の課題としては、バス運転手のイメージ向上を図ることが重要になってきます。やはりキツイというイメージが先行しすぎているせいか、バス運転手になろうとする人は少ないので、バス運転手の社会的評価を高くし、子どもが憧れる職業になるようアピールしていくことが肝になってきます」(同)
バス運転手という職業の地位向上と待遇改善を行っていくことが、新規運転手の獲得のための目下の課題となるようだ。
取材・文・文月/A4studio、協力=戸崎肇/桜美林大学航空・マネジメント学群教授/提供元・Business Journal
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