が、コロナを経て、物価高になり、情報が錯綜する中で人々の価値観があまりにもバラバラになっているのがアメリカの世相であり、意地っ張りと声の大きさを競うようなそんなナローマインドさが議員の立場を混迷に導ているとも言えます。
ではこの年中行事をアメリカ以外の人たちはどう見ているのか、であります。ウォーレンバフェット氏が日本株に着目した理由の一つはバカげたアメリカにもう投資していられないという怒りではないか、と思うのです。つまりバフェット氏は海外の声を代弁したとも言えなくはありません。
ギャラップ調査によるとパウエル議長の信任度が過去の議長で最低となったと報じられています。そもそもトランプ氏が指名したパウエル氏はバイデン氏も信任したわけですが、共和党議員のパウエル氏への信任度は21%しかないのです。イエレン財務長官の信任度も37%で過去と比べると相当低い水準になっています。
分断するアメリカ、これはエンタテイメントではなくリアルです。それを象徴する債務上限問題はリアルを背景にした迫真に迫る演技では済まされず、「やっちまった」という衝撃をむしろ望んでいる節すら見えるのです。自虐的とも言えます。
6月1日までに合意に至らなければ「テクニカルディフォルト(技術的債務不履行)」であって真の意味でのディフォルトではないから気にすることはない、という意見もあるかもしれません。が、それは世界から見てアメリカの信任が一気に落ちることを意味します。日本はアメリカ国債を世界一保有しています。その日本がアメリカの大統領に「いい加減しろ!」と喝を入れたことは一度もありません。ドルの価値が低落していくことも覚悟しなくてはいけないでしょう。その時、次の基軸通貨の話は必ず出てきます。
長い歴史のアメリカ債務上限問題はいつも一部の議員たちの綱引きゲームでした。今回もそうなのですが、共和党側の綱は細かく解かれ、様々な人がバラバラの主張をし、責任のなすりつけ合いをする、そんな構図を私は強く感じてしまうのです。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年5月10日の記事より転載させていただきました。